凄い、凄すぎる・・・・
俺は、イヤ、イヤ、この街で営業をしていて、契約も取れないでいた俺を吉川さんが声を掛けてくれた
それが、今日に至るまでの始まり・・・
俺は、人に恵まれていると心底感謝していた。
『会長。ばあさん。俺はどっちも選べません。すいません。』
『だから、分かってたよ。』と、ばあさんが言う。
『俺は多分、このままいけば、おのずと会社には行けなくなるでしょう。そうなれば、今の状況からし
て、役員は解任され、離職することになると思います。だから、自分の生き方でなるようになる。とで
もいいましょうか、それを選択します。自らが原因であれば、納得もいきます。』
『でも、働かなくてはいけないだろう』と、会長が言う。
『はい。』
『無理をせず、うちに来ないか?先生の忘れ形見を僕は放っておけない。』
『忘れ形見ではありません。吉川さんは僕の恩師でであり、友達です。会長のところでお世話になれば
一生、苦労はしないと思います。でも、今回の件と、それは違います。会長にお会いできたことで十
分、ありがたい事です。人様にはいえませんし、言っても信じてもらえませんから』
と、俺は笑顔で、そう言った。
会長は、『やめて、体調がよくなったらどうするんだい?』
『どうでしょう。どこかに勤めます。』
そういうと、会長は俺に名刺をくれた。
住所も電話番号も、会社名も何も載っていない名刺だ。ただ、名前だけが書いてある。
『HIROTO君は、何かあったら電話してこいと言ってもしてこないだろう。私には名刺が沢山ある。でも
その名刺は、特別な名刺だ。見る人が見れば分かる。見ても意味の分からない人は分からない。そうい
う名刺だ。』
そうだろう。会長位の人であれば、名前だけで分かるだろうし、この名刺の意味も分かる。
『HIROTO君、電話番号を教えてくれないか?今度は、重い話ではなく、銀座で鮨でも笑いながら食べよう。先生の話でもしながら・・・』
俺は電話番号を教えた。
『本当にお気遣いありがとうございました』というと、
会長は、ばあさんに挨拶をして帰って行った。
『今日はここへ泊ってけ』と言った。
会社に電話を入れ適当な事をいうと、そっけなく了解された。
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