つぐみの事を座らせ、ママが話し出した。




つぐみは、東京で生まれた。下町の一軒家に住んでいた。


兄弟はなく、親子3人での暮らしだった。


つぐみの母親というのが、ママの妹だという。


父親は、自分で機械の部品を作る工場を経営していたらし・・・・


しかし、時代の流れというものに飲み込まれてしまい工場は倒産。




それからというもの、父親は、酒浸りの生活になり、働きもせず、母親がパートで稼いできてもので


生活をしていた。


父親は、かなりやばい筋から金を引っ張り、その担保で家も失った。


役所関係に救いの手を差し伸べたが、なかなか上手くいかなかった。


そんな生活に、疲れた母親は、つぐみをおいて姿を消したらしい。


その時、ママに、つぐみをお願いしますと電話があったのが最後で、今もどこにいるのか分からい。


ママはつぐみを引き取りに行こうと、東京までいったが父親がどうこうよりも、つぐみが拒否した。




つぐみが、中学生の時だった。


それからも、父親は相変わらずの生活を送り、時には、つぐみに手を上げたそうだ。



その、父親も、酒のせいで亡くなった。


つぐみは、そんな両親でも、一言も愚痴をこぼさなかったらしい。



まだ、自立は出来ない年齢なので、ママが引き取り、横浜へきた。


その時も、酒を商売にしている所へは行きたくないと相当、困らせたらしい。


つぐみの中では、誰も悪くない、悪いのは、お酒。お酒のせいでという思いがつよかったのだろう。



横浜にきて、高校を出てアルバイトしていたが、ここにはもう面倒は掛けれないからと言いだし、自立するとママに申し入れた。



ママは引き止めたが、頑として譲らない。



そこで、ママは、何年も苦しい思いをしてきたことはわかるが、つぐみは今まで一つだけ間違っていることがあると言った。


つぐみが聞いてみると、悪いのはお酒ではなくて、悪いのは両親だ!


そう、はっきり言ったらしい。


つぐみは、反抗したが、ママは、じゃあ、お酒が悪いのかどうか、自分の目でしっかり確かめなと言いた。



いいお酒もあるんだから・・・


そういう事があり、『Synomilia(シュノミリア)』で手伝う事になったそうだ。


それからというもの・・・・・



俺は、ふっと思い出した。ママと酒で勝負だといい、完敗して2階で寝ていた時の、つぐみの目と

『可哀想な人』
という言葉を・・・・



じゃあ、こいつは、俺の家を出て行ったあと、どこに行って、今はどこに住んでるんだ?



ママは話を続けているが、俺はそれ以上、耳に入ってこなかった。


つぐみ、どうしてたんだ・・・


つぐみ・・・・・




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