俺はどれだけの人を傷つてきたのだろう・・・




つぐみ・・・


俺と、つぐみは、ここで初めて会った。


つぐみは、ママの友達の娘だ。


口数が少なく、頷くか、首を振るかというくらいに・・・



俺がこの店に初めてきたのは、あるきっかけからだった。


俺は、仕事の休みの前の日い、仕事で苛立っていて、よく覚えていないが4軒くらいの飲み屋で酒を飲み、酔っぱらいながら缶ビールを手に店の前を通った。


丁度その時、ママが店の外へ出てきて、俺を見つけ『良い若いもんが何やってんだ!』といい、店の中に引きずり込まれた。


俺は、『金ないから帰るよ』というと、『金なんか要らないから、飲みたいならここで吞みな』

といい、カウンターに瓶ビールをドカンと置いた。



『あんた、地元の子だね。』と、ママが言うと


『なんでだよ』と聞いてみた。



『いいんだよ。私には分かるんだ』といい、俺はどうでもいいよ、そんな事と思い黙っていた。



『つぐみちゃん。外の電気消して』と言った。


その言葉を最後に俺は、寝てしまった。



明け方、俺は目を覚ました。ここはどこなんだと思いながら昨日の事を思い出すと自分のいるところが理解できた。

明け方にも、関わらず、ママとつぐみは話をしていた。


俺は、『すいません。』と謝った。


『いいんだよ。どうした?同業者じゃないねぇ。なにかあつたの?』と、ママが言う。


つぐみは、俺の事を奇怪な目というか、恐々と見ていた。


『なにもないよ。』


『何もないのに、あんな飲み方してたのかい?そうだったら、あんた、おかしいよ。』


『ああっ。おかしいんだよ。』


すると、『イヤなことがあったんならそれは分かるけど、あんた、何もないって言ったよね。でも、何もないのに破滅するような飲み方すんのはやめなさいよ。』



『勝手だろ。俺の・・・』と、言い返した。


『ふざけんじゃないわよ。あんた、一人でいきてるつもり。だったら、私が付き合ってあげるわよ。』


『あんたが破滅するまで飲み続けてあげるわよ。』


『つぐみ!グラスとビール3本抜いて!』と言いだし、俺を店から返さないように入口の引き戸の席に座った。


『つぐみ!疲れてるだろうから帰りな。』というと、つぐみは首を横振った。


『じゃあ、ここ来て座りな』といい、俺は、ママとつぐみに挟まれる形になった。


これが、この店に初めてきた訳と、つぐみに初めて会った時だった。


つづく


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