ここに来ると、俺は、あの日の事を思い出す。
吉川さんと奥さんは10歳以上、離れていた。
最後は、奥さんとおじいちゃんって感じだった。
その吉川さんが、言っていた・・・・
世の中、便利になり過ぎた。
電話。
テレビ。
冷蔵庫。
そいして、今じゃ、インターネット。
携帯電話だってある。
昔は、何もなかった。と・・・・
俺は、戦争中、小さかったが、あの頃の事は今でも憶えているよ。
ただただ、毎日が怖くて、終わってみれば何もなくなっていた。
そして、俺はお前が感がえられないほど、働いた。
死に物狂いで・・・・
なぜか、分かるか。
分かるわけもないな。
今の自分をみると、昔の自分を抱きしめてやりたくなる。
小さな子供が、泣きながら、腹をすかせている自分を・・・
だから、貧しさから逃げようと・・・・
逃げるためには、働くしかなかった。
俺のオヤジが残してくれた財産とアイツは言っているが、それだけでは無理だ。
俺はいつまでも、おいつの前では子供でいたいんだ。
『わかるか?』と聞かれた。
『なんとなく・・・』としか答えられなかった。
今は金はある。
好きな事をしようと思えば、何でもできるかもしれない。
でも、金を持ちすぎるのも良くない。
大切なことが、どんどん分からなくなり、苦しかったことを、消し去っていく。
人間は生まれて、死ぬまで、どう過ごすんだなんて、今の若い奴は考えていないだろ。
人間ていうのは、生まれて死ぬまで、人間として過ごさなければいけないんだ。
簡単にいうと、『おはようございます』、『おやすみなさい』『いただきます』『御馳走様でした』
『ありがとうございました。』
この、5つの言葉を噛みしめて生きていくのが、人間だと思う。
それが出来ない。というか。
悲しい現実がある。実際には・・・
『吉川さん』と、言い、又、俺は吉川さんの話に耳を傾けた・・・・
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