朝の朝礼が終わり、一斉に営業マンが飛び出していく・・・
今日の俺は、頼むよ、ということばさえ掛けてあげれない。
この仕事はの、5割は、メンタルな部分が占めていると言っても過言ではない。
俺の一言に敏感に反応し、俺の行動を常に見ている。
それくらい、俺の立場は複雑かつ、演じきらなければならない役者のようなものだ。
『バカヤロー』、『売り上げはー!』と、怒鳴り散らして売り上げが上がるならそれほど楽なことはな
い。それに、そんな事をしていれば、社員の定着率も悪くなる。
人は財産なり。
昔の人は、良いことをいう。
こんな状態でも、今日も一手打たなければならない。
営業マンが出払った後、事務室に行き、回収予定のある案件のリストを貰った。
たぶん、運転は難しいだろうと思い、研修という名目で、事務に入って2か月目の飯田を運転手として
使う事にした。
飯田は俺の事を、よく知らないし、俺も知らない。
俺が、病気になった後に入ってきた人間だからだ。
無口なのか?緊張してるのか?分からないが、無言のまま、現場に向かう。
そして、現場に着くと、『お疲れ様です。』と下請けに挨拶をする。
通常というより、営業マンは下請けのことを見下しているケースが多く、挨拶すらしない奴もいる。
だから、こっちに落ち度があると、コテンパンにやられるのだ。
それが、今回のいい例だ。
『〇〇さん。また来たの!暇なんだねぇ~』と、下請けが言ってくる。
俺は、『暇じゃないよ。顔見たくてさ。』と、臭いセリフを言う。
これが、効果覿面なのだ。営業は、これくらいのセリフを言えなければ商売にはならないと思っている。
『引き渡し間に合いそう?』と聞くと、
『ギリギリだな』と、言ってきた。
『そうか。でも、危ないから無理しないでね。』といい、次の案件に向かう。
2件目は、次の仕事を用意してくれとの依頼があり、回収は平気だろう。
3件目も、回収が遅れるような状態ではなかった。
4件目!ラストだ。しかし、状況は最悪。残りの日にちでの回収はほぼ、絶望的だった。
ふ~~!とため息をつくと、飯田が『本部長って大変なんですね。』と言ってきた。
俺は、『いつでも変わってやるよ』と、冗談を言った。
ホントにそうだ。変わってくれるなら変わって欲しい。芯からそう思った。
しかし、どうするか?
二現場、パンクしたら、大変だ。
仕方ないやるか。と、思い信じるしか今のおれにはできなかった。
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