『こんにちは!』と、俺は、ぎこちなく、挨拶をした。
神父さんは、俺に『教会に入ってきた時の、儀式というか、慣わしを教えましょう』と言い、入り口の所にある料理で使うボールのようなものの前に連れていった。
その中には水が入っている。
『これを、手に少しつけ祈りを捧げ、奥へ進むんです。では、私がやってみましょう』
といい、神父は右手の中指あたりにその水を付け、映画に出てくるよな十字をきり、片膝をついた。
俺も神父がやった通り、真似してみた。
『これは、まぁ、なんといいましょうか、身を清めるようなのもです。その他には、洗礼や祝福の時に用いられる聖水というものです。』
神父はそう話した。
『この間は、日曜日といっていましたが、また、平日に来てすいません。』
と、俺が言うと、『ああっ~。いいんですよ。ただ、日曜日にはミサがありますから、そう言ったんですよ』
そうだったんだ。でも、讃美歌とか聖書とか、多分俺にはわからないなぁ~と思っていた。
『問題はありませんよ。でも、今日は、もう少ししたら幼稚園の子供たちが来るんです。』
『あっ!だから、神父さんの恰好なんですね。』と聞いた。。。
神父は笑顔で頷いていた。
『何か困っている事や悩んでいることが、あるんじゃありませんか?』と、聞いてきた。
俺は、『いや。。。ありませんよ。。。ただ、心が休まるというか、よくわかりませんがお邪魔しました』
俺は、病気の事を隠した。というよりもいうのが嫌だった。
『それならいいんですが、心が休まるという事は、何かつらいことがあるんじゃありませんか?』
と、神父は聞いてきた。
フッ!と思いながら俺は、『神様に頼んでもどうにもならない事があるんですよ』と、思わずいってしまった。
すると、『ほー。でもそうかもしれません。しかし、神はその人に良いこと悪いことも、その人のために与えてくださっているんです。』
『病気もですか?』と、俺は何気なく言ってしまった。
『そうかもしれません。』
『そうなればおつらいでしょうが・・・試練というものを、お与えすることもありまよ』
と、神父が言う。
何が試練だ。なってみたら大変なんだぞ。と、思わず言いそうになった。
しかし、俺は『罰ですかねぇ?今までの・・・』と聞いてみた。
『それは違います。試練です。その内、あなたも気付くはずですよ』と言った。
試 練。。。
すると、子供たちの声が聞こえてきた。
『来ましたね。よかったら、一番後ろで見ていても結構ですよ。』
『何をですか?』と俺が聞くと、
『今の自分が分かるはずですよ』と、神父が言った。
まだ時間もあるし、と思い俺は一番後ろの長椅子に腰を下ろした。
つづく
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