主治医:『〇〇君は釣りが趣味で魚がかかるまでまっているんだよねぇ』
俺 :『そうだけど・・・・』
主治医:『いい趣味だと思うよ。海を見て、いい空気を吸って、魚が釣れれば最高でしょう』
俺 :『まぁ、そうだね。釣れた時はね!』
主治医:『そう!それなんだよ。釣れた時は面白い!イヤ、趣味だから釣れた方がおもしろいか!』
俺 :『漁師ってなんなの?』
主治医:『いいかい!君は釣れたら面白いと言ったよね。でも、釣れなくても釣りが趣味なんだよ』
主治医:『漁師さんはどうかなぁ?釣れないとか、魚が取れない。それは死活問題だよね。』
俺 :『そうだねぇ』
主治医:『〇〇君は最初に病気を治せるかと私に聞いたよね。それは、なぜかなぁ?』
俺 :『当たり前じゃん。病気を誰でも早く治したいだろ!仕事もしなくちゃいけないし・・』
主治医:『そう。今の病気は〇〇君にとって死活問題にもかかわってくる。でも、すぐには治らない。趣味の範疇ではなく、プロの範疇で病気に向かっていかなければならない。』
主治医:『分かるかい?治すのは私ではなく、〇〇君なんだよ。それをサポートするのが私!』
主治医:『私の方針は話を理解してくれる患者さんでなければ、良くならないと思っている。そうだろ!意志の疎通も出来ないのにサポートは出来ない。でも、私は医師としてプロだ。いい加減な診察、処方をすれば直ぐに病院の評判は落ちる。〇〇君は患者さんのプロとしてこれから、一緒に大きな魚を釣り上げなければならないんだよ。』
俺 :『釣る魚は何の魚?』
主治医:『クジラ』
俺 :『クジラは釣れないよ。マグロだな!』
主治医:『よし、獲物はマグロでいこう!じゃぁ、担当は私でいいね?』
俺 :『ああ。。。』
主治医:『お母さんも宜しいですね?』
母 :『宜しくお願いします。』と、深々と頭を下げた。
主治医:『あっ!そうそう、船には二人しか乗ってないから気を付けよう!何があるか分からないから、船から飛び込んで海水浴したくなったら、お互い言ってから海へ入ろうな!』
なに!
今でも聞いてはいないが多分、医師の交代は母が事前に医院長へ相談したことだと思う。
俺は一度、人を疑うとまったく、その人間とのコミュニケーションを取らない。
そのことを、母は知っている・・・だから事前に・・・
主治医:『では、3日後にまた・・・なにかあるかい?』
俺 :『先生、釣りするだろ。普通、釣りをしない人間は、釣れた方が面白いとは言わないだろ。経験したことのある人間しか。』
主治医:『はははぁ!ばれたか!』
俺 :『イヤ。先生が笑う所じゃない。笑うのは俺の方だよ。うまく釣られたのは俺なんだから』
そう言い終わると、診察室出て、先に外へ出た。タバコに火をつけ空を見ると久々に爽快感があった。
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