本日、太陽光発電の打ち合わせにて「屋根を板金にして太陽光発電を付けると、雷って落ちやすくなるの?」
ご質問をいただきました。
「今はアンテナを屋根に付けているけど、落雷を避けるならできれば取った方がいいよね。」
とも伺いました。
落雷の影響を避けるなら、太陽光発電は有効です!そして、アンテナもとっときますね!
この内容について解説します。
地震雷火事おやじ
おやじ=台風のことです!
と昔から恐れられてきた自然災害です。
雷の仕組についてはWIKIを参照してください。
こんにちは、成功電気の今井です。
愛知県北名古屋市で住宅の電気設計を20年ほど続けています。
主に住宅の蓄電池、太陽光発電、V2Hやスマートホームの
設計施工を500件以上実施しています。
もくじ
法律上の基準について
避雷設備について
太陽光発電システムを導入した場合
まとめ
太陽光発電を付けると雷が落ちやすくなるのか?
瓦のみの場合と比較して、
落ちやすさのリスクは少々上がるが
落ちたときの被害が抑えられるよう、アースが施工されているので被害を減らすことは可能です。
1,法律上の基準について
雷についての法律は、消防法に危険物の保管場所に対し、
建築基準法(建築基準法第33条、JIS A4201)に20m以上の建物に対し
避雷針を設置する義務が発生します。
法律以外にも、建物の環境によって避雷針をおすすめする場合があります。
国土交通省が監修している建築設備計画基準(旧)では、
建築物に避雷設備を設置するか否かについて、
下記表の指数が「40」以上となるかを基準に判断するという考え方がありました。
住宅に限って言えば
外部にアンテナがあり、草葺屋根で、完全に孤立・周囲建築物や樹木の2倍を超える高さで、
標高900mを超える山岳地帯で、建物高さが9mを超えている場合は避雷設備を設置する必要が出てきます。
アンテナがない場合と比べアンテナがある場合は2ポイント不利になります。
2,避雷設備について
避雷設備は雷撃を捕捉するための
「受雷部」、
そこから雷電流を安全に接地極へと導くための
「引下げ導線」、
最終的に雷電流を大地に放流するための
「接地極」
の3つで構成されます。
受雷部は「突針による保護方法」、「棟上導体による保護方法」、「.ケージによる保護方法」
の3種類
「突針による保護方法」:
よく見かける、避雷針です。こちらも種類が複数あります。
①避雷針のイメージとして定着している細長い針状の避雷針は、フランクリンロッド。150年ほど前から作られています。
②PDCE避雷針(消イオン容量型避雷針)と2000年代に新たに作られた装置です。
こちらのブログで詳しく解説
「棟上導体による保護方法」:
「.ケージによる保護方法」:
①.被保護物を包むように連続的な網状導体にする。
(金属板を含む)
②.ケージ幅2m以下とする。
建物の仕様であったり、目立ちにくさとコストで選びます。
「引下げ導線」については、受雷部と接地極を繋ぐ導線です。
「接地極」は、アースです。
地面に杭を打ったり導体の板を埋設します。
避雷設備の場合は、杭を打ちながら建物の周りの土の中に導線を埋めます。
この時に接地抵抗基準があり、
10Ω以下という超ハードルの高い値をクリアする必要があります。
3,太陽光発電システムを導入した場合
屋根には太陽光パネルを設置します。パネル周りには、金属板があり、アースで連結させます。
ここが受雷部の「棟上導体による保護方法」のような効果が期待できます。
太陽光パネル用にアースを引き下げ導線でつなぎ接地させます。これが接地極となり、
避雷針基準までには至りませんが100Ω以下まで接地抵抗を落とします。
根拠資料はありませんが、太陽光発電を付ける前と比べ、落雷対策としてはプラス側となります。
まとめ
以上のように、雷対策について解説しました。
太陽光発電を設置する場合は、
金属部分が屋根に載り、雷が落ちるリスクはほんの少し上がりますが、
そのリスクよりも大きく対策ができる為、落雷対策としてはプラスとなります。
ただ、
万が一落雷があった場合に太陽光発電システムの保護を検討することもおすすめします。
太陽光発電についてはこちら
おまけ
他にも、万が一電線の中に雷が流れ込んだ場合の対策などもあります。
雷サージとは、「らいサージ」や「かみなりサージ」と呼ばれ、 雷が落ちるときに瞬間的に高い電圧(異常高電圧)が発生して、その異常高電圧の影響で異常な過大電流が流れることを言います。
詳しくはこちらへ
分電盤をサージ機能付きにして、家全体を守る方法や。
延長コンセントをサージ機能付きのものにして、PCなどを守る方法もあります。
避雷針と比較して、そんなに高い設備ではないので導入はしやすいです。
以前、塗装メーカーの倉庫が老朽化したので建替えする工事を請け負いました。
倉庫には、避雷設備及び、換気設備、照明器具が必要で
名古屋避雷針さんのご協力で棟上導体による保護を行いました。
他には、換気扇は防爆用ベンチレータを選定、照明器具も防爆仕様、電気の配管はすべて厚鋼を使い、貫通部位にはフィッチングを行いました。
いい経験をさせて頂けて、勉強になった仕事でした。
おわり
関連記事