通夜の席、一癖も二癖もあるような親族がぞくぞくと集まってきた。
 
夫の祖母の時の葬儀は自宅でやったそうなのだが、やはり素人が行うものだから、モレや不手際があり、責められたり、嫌味を言われたものだから、もうコリゴリだと姑は言っていた。(とくに田舎はね…)
 
…なので斎場を使用することになった。舅はすでにリタイアしてずいぶん経っているから、家族葬にしようということで一致。
 
受付や案内は隣組の面々である。
 
しかし、葬儀や法事のときにリーダーシップを発揮し、指揮をとりたがる人物がいるものだ。
 
うちの場合、元・キャリア官僚の伯父である。
 
毎回、口をだしてくるから少々鼻つまみ者なのだ。
 
「ワシは葬儀委員長を7回もやってますからなぁ~。少しはこういったことはわかっておりますからな。得意げ
 
と豪語していた。…自慢ですか
 
その妻である伯母は、うちの舅の実の姉。つまりうちの姑にとっては小姑なのだ。
 
口が達者で、頭の回転が速いから、いつも姑は『気が利かない嫁』扱いされている。
 
しかも、親戚中が集まったところや、ご近所のヒトがいるところで「気が利かない」発言をするものだから、いつも姑はカリカリしていた。
 
その葬儀委員長7回の伯父も今回は、斎場のヒトが手際よく進めてくれたので、あまり出る幕がなかった。
 
以前、自宅で葬儀を行った親戚がいたのだが、
 
「アレコレ指図されて大変だったんだよ~。おまけに、同じようなヒトが4人もいて…アタシはカゲで泣いたよ…。 オタクは斎場にして正解だったね。」
 
と言っていた。…それでも不手際はある。
 
斎場は完璧にやってくれたのだが、選ぶこちら側のミスである。
 
通夜の席に出す食事が少なすぎたのだ!! 家族葬だから少な目に用意してもらったのだが、思いのほか多くの人々がきてくれたのである。そのことに気付いた伯父は…
 
「こういったもんは、多めに用意せないかん。こういった土地柄なんや。近所のヒトも大勢かけつけてくれるんやから。」
 
と言っていた。しかし、その日は夜も遅かったし、何とかそれだけのチェックで終了したのであったが…翌日の葬儀に一抹の不安がよぎったのは確かであった。
 
 
 
 
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