今日は久しぶりに読売新聞の編集手帳を抜粋して書きました。
 
昨日今日あたりと大変取り上げられていた、大津市の中学2年生が自殺した件について書かれていました。
 
編集手帳
童謡にはときに不穏な歌詞がある。
『めえめえ児山羊』(詩・藤森秀夫)
<朽木(とつこ)あたれば頸こが折れる 折れりゃ児山羊はめえと鳴く>
 
『金魚』(詩・北原白秋)の
<母さん 帰らぬ、さびしいな。金魚を一匹突き殺す>
 
詩人の感性が言葉にすくい取ったように、子供の心には無抵抗の相手に対して残酷になれる芽が
ひそんでいるのかも知れない。芽は思い出したように醜く繁茂して、世相に暗い影を落とす。
その子が強要された「自殺の練習」が何を指すにせよ、いじめに加わった生徒の陰湿な笑い声が
聞こえるようで胸が悪くなる。
大津市で昨年10月、市立中学2年の男子生徒(当時13歳)が飛び降り自殺した。
「自殺の練習をさせられた」「恐喝されていた」「万引きをさせられていた」「毎日殴られていた」
「教諭らが見て見ぬふりをしていた」ーーーーーー自殺直後になされた前項アンケートの回答には
救いのかけらも見つからない。誰が何をし、誰が何をしなかったのか。
児山羊でも金魚でもない。やがて上の学校に進み、恋をし、仕事に夢を追い、結婚して父親になったで
あろう人生である。人生だ。
 
 
 
 
同じ子を持つ親として、何とも切なくやるせない事件です。
こんなに子供が学校生活で苦しい思いをしていたのに、全く気づいてやれなくて、自殺された後で
色々なことがわかってきたらと考えただけでも辛いです。
 
 
昨日大阪市長の橋本さんがこの事件の感想を聞かれて、7人の子を持つ親としての感情が入ったのか、
涙声で話していました。
市長は「ああいう問題は難しいところもあるが、もうちょっと早く気付いてあげられなかったのかと思う」と、
途切れ途切れに話した。また「行政としてしっかりやらなきゃいけない」とも語った。
 
せっかく取ったアンケート、きっと勇気を出して見た事を書いた生徒もいたと思います。
そのアンケートを、いじめた側にも人権があるからと、事実確認もしないでそのまま、
とはどうかと思います。
そのアンケート結果をこれからに生かせるように、きちんと役立てて欲しいと思います。