『Pierre-rAuguste Renoi / ピエール=オーギュスト・ルノワール』
が1880年に描いた『イレーヌ カーン ダンヴェール嬢 / 肖像画』。
可愛いイレーヌとも呼ばれており、西洋絵画史上 (印象派) に於いて
最も美しい少女像であると語り継がれています。ユダヤ人銀行家の
『ルイ・カーン・ダンヴェール』伯爵の長女がイレーヌ嬢 (当時8歳) 。
私はF6号キャンバスの複製画 (額縁はガラス装) を中古市場で発掘した後、
自宅の寝室に飾り付けてます。A・C・P 立体美術絵画という油絵仕上げ。


淑やかで気品に溢れる佇まいに、透き通るような白い肌。華やかな水色
ドレスの色彩に調和する、豊かな栗色の髪と淡い背景。美しい対比は
スフマートで表現されています。作品はチューリッヒ美術館 (スイス)
が所蔵 (キャンバスに油彩)。印象派という前衛から伝統に回帰しながら、
彼の名が売れ始めた当時、同じ印象派の画家達 (モネ ピサロ セザンヌ)
とグループ展も開催。やがてサロンに入選を果たすルノワールでした。
〈 Renoir - Portrait of Mademoiselle Irène Cahen d'Anvers 〉
〈 ルノワールがアトリエとして構えた邸宅 / 17世紀の建築物が現代も健在 〉

〈 Pierre-Auguste Renoir / ピエール=オーギュスト・ルノワール 〉

先日に他界した私の親父ですが、画家ルノワールの作品が大好きで、
展覧会場を訪れる度に肖像画 (複製) を購入しては自宅に持ち帰る。
未だに覚えている作品は『ルグラン嬢の肖像』です。生前の親父とは
都内の美術館巡りをした思い出があり、休憩時間は『喫茶ルノアール』
の珈琲を嗜む。美術展のパンフレットを広げて語り合いました。マッチ
箱が有名で『青い帽子の少女』や『草束を持つ少女』という作品が題材。
親父の引き出しを覗くと、マッチ箱が積み重なり収集されてました。
〈 東京食糧新聞 / マッチで偲ぶ外食史 / ルノアール 〉
そこで『イレーヌ カーン ダンヴェール嬢』を注意深く眺めてみると
不思議な発見の連続であり、ドレスや背景を描くタッチは印象派特有
ですが、顔や頭髪部分は写実主義的なのです。透明性を帯びた白い肌
の質感や、麗しい瞳の眼差しはルネサンスの時代にまで回帰しており、
8歳の娘とは思えない存在感に誰もが釘付けとなる。完璧とも言える
三角形の構図、表情の角度、幻想的に描かれた植物と豊かな頭髪にも
境界線を感じない。まるで夢物語の舞台に降臨したかの様な美少女。
光を描く画家。ルノワールが到達した究極の境地であり、この絵画は
無音の世界で静寂を纏いながら呼吸しています。キャンバス全体から
光が滲み出ており、これは単純な印象派の作品ではなく、時間を超越
した永遠なる美の象徴。かつて中学生時代の私は家族で箱根の美術館に
訪れた思い出があり、初めて小遣いで購入した絵画のポストカードが
『可愛いイレーヌ嬢』でした。当時の私は彼女が中学生であると想い
込んでおり、年齢を経た現在でも惹き込まれてしまう魅力的な肖像画。
〈 チューリッヒ美術館 (スイス) 所蔵 キャンバスに油彩 65 cm × 54 cm 〉
〈 西洋画史上最も有名な美少女の末路とは!? 〉
現実のイレーヌ嬢は波乱万丈な生涯を送り、91歳で他界しています。
アシュケナージ系のユダヤ財閥が顕著であり、ヒトラーや世界大戦の
歴史まで関係していると。彼女の母親はルノワールが描いた娘の肖像画
を嫌いましたが、おそらく当時はサロン受けする古典主義風な絵画を
期待していた可能性が高い。私個人的にはイレーヌ嬢が辿るリアルな
人生の逸話よりも、作品が織り成す儚さや、刹那的で永遠性を宿した
表現力に価値があると考えており、ルノワールの才能に神意を感じます。
『カーン・ダンヴェール家』はユダヤ系銀行財閥『ビショフシェム家』
傘下の銀行家『ジョゼフ・ランベール・カーン』が創立した一家です。
厳密に調べてみると『アンソニー・グスタフ・ド・ロスチャイルド』
(イギリスの銀行家) の妻が『Y . L . ルイーザ・カーン・ダンヴェール』で、
実家は『カーン・ダンヴェール家』という記載を確認。少女イレーヌは
ロスチャイルド家 (分流) と密接な繋がりを帯びている令嬢ですね。

実在した19世紀フランス銀行家の娘。イレーヌ嬢は名門ユダヤ系の出身
であり裕福な少女でした。既に社会的ステータスと家柄を背負う長女
なため、画家ルノワールは貴族の正式な肖像画に相応しい印象と、当時
の社会的背景も含めて描きました。知性と気品、詩的な風情を漂わせて
いる静謐な美しさ。イレーヌ嬢の姿勢や仕草、大人しい表情には家系の
重みが伝わりますね。『可憐』という言葉が似つかわしく、歴史的名画。
画家ルノワールは、当作品を通じて語りました。
「美とは、消え去るものではなく、見えた瞬間に永遠になる」
《author》Eiki Ozawa
《Artwork》Pierre-rAuguste Renoi
《Reference》Sea & Bell Art / youtube
東京食糧新聞 / マッチで偲ぶ外食史 / ルノアール
山田五郎 / オトナの教養講座 / youtube





