松田直樹選手のこと
松田直樹選手のご冥福をお祈りします。
本当に残念でなりません。
3月13日、松田選手のインタビューを行う予定でした。
ニュース誌に「30代の決断」というテーマで原稿を書かせていただけることになっていた。
その時点でマリノス時代の盟友、安永聡太郎さんに周辺の話を聞いた状態だった。
松本では試合を取材し、クラブ関係者など周辺取材も進行する段になっていた。
しかし、すべて震災でキャンセルになってしまった。
仕切り直しの機会を得られることを願い、テーマを再考していました。
似たテーマは他誌ですでに描かれていた状態になっていたので。
自分が興味があった点は、松田選手の「自己主張」でした。
この観点から切り込んでみたかった。
トルシエは「松田は、試合に出さなければ許さないという雰囲気があった」という
話をしていた。実際にU-22代表時代、トルシエのチームを離脱しています。
またNumberで日本代表のジーコ監督時代の話として、
公式戦でエントリー外になりチームを無断で離脱した話も興味深く読んだ。
3部の地方クラブに移り、自分の意見をどう伝えていっているんだろうか。
もちろん、強く主張するばかりの選手だとは思っていません。
ただ、30代になり、ステージが変わり、なにか変化が起きているのか、あるいは無いのか。
そこに興味があった。
松田選手の「オレはやれる」とギラギラと主張するパワーがピッチ上で昇華されていく感じが大好きでした。
日本人のスケールを超えてるなと感じていた。
代表での「自己アピール」は物議も醸したが、一石を投じた点だけを見ても価値のあるアクションだった。
何もしないよりマシだ!
最終的にはそれを受け容れたトルシエとの関係は、原稿で書けるんならじっくりと書いてみたい。
二宮寿朗著「闘争人 松田直樹物語」(三栄書房/2009年)には
本人のこんな言葉が紹介されています。
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―松田選手といえば、不名誉ながら歴代3位の退場数を誇っています。
感情を表に出したプレーが特徴的ですが……
昔はとにかくイエローも1つの勲章ぐらいに思っていた(笑)。
本当は冷静なのに、相手との駆け引きで熱くみせたりすることもある。
ベンチには『落ち着け』って言われて、冷静さを理解されなかったときもあったけれど(笑)。
でも試合をして相手チームの選手になにか理不尽なことをやられたり、言われたら俺はそのまま黙って見過ごすわけにはいかない。そこは戦いだから。
絶対に、相手にはなめられたくないからね。なめられたら終わりだから。
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その「熱さ」はこの先、ずっと伝えていくべきものです。
自分も微力ながら、伝えることに携わっていきたい。
それ以外にどうやって、直接会うことが適わなかった松田選手とそのご家族に対し、
弔いの意を表すことができるだろう。
せめて、自分がボールを蹴る時、下手なりに、
下手だからこそ熱い気持ちを失わないようにいることを心がけます。
松田選手が大好きなフットボールをエンジョイし尽くします。