「幕末」は江戸末期のこと。どうして鎌倉幕府や室町幕府の終わりは幕末と言わないの? | えいいちのはなしANNEX

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このブログの見方。写真と文章が全然関係ないページと、ものすごく関係あるページとがあります。娘の活動状況を見たいかたは写真だけ見ていただければ充分ですが、ついでに父の薀蓄ぽい文章を読んでくれれば嬉しいです。

「天外者」(三浦春馬の映画)を見てきました。

薩摩の五代才助(友厚)は、情熱家ではあるけど他の「幕末の志士」たちとは一戦を画した合理主義者で、技術と産業で新しい日本を作ろうとした、っていうお話。いやあ最後、泣くよ。

ところで、「幕末」って江戸幕府の末期のことだけど、どうして鎌倉幕府や室町幕府の終わりは幕末と言わないの?

 

「幕府」という言葉が学者のあいだで使われはじめたのは江戸時代からで、一般人が幕府という言葉を知るようになったのは、それこそ幕末の志士たちが好んで使ったからです。

なんでって、彼らはなにしろ「志士」ですから、欲得ではなく「日本国はこうあるべきだ」という思想で動いている、つまり自分たちはテロリストではなく思想家であると信じている。だから、難しい漢語を好んで使いたがったんです、尊王攘夷とか。

 

彼らは自分たちの所属組織を「藩」と呼び、それと対置して公儀のことを「幕府」と呼びました。気取った外来語です。彼らが勝って明治維新になると、これらの語が正式名として採用され公文書や教科書に載ります。つまり、もともと「幕府」というのは江戸幕府を指す言葉として誕生した、といっていいんです。

鎌倉幕府、室町幕府と教科書に書いてあっても、それはいわば歴史用語であって、リアルタイムでは幕府という言葉は誰も使っていません。

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