「ハムレット」を解く(17) オフィーリアがラプンツェルであるという事情を詳しく解説すると・・・ | えいいちのはなしANNEX

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このブログの見方。写真と文章が全然関係ないページと、ものすごく関係あるページとがあります。娘の活動状況を見たいかたは写真だけ見ていただければ充分ですが、ついでに父の薀蓄ぽい文章を読んでくれれば嬉しいです。

 それでは、「ハムレット」の物語から、オフィーリアにまつわる出来事を、時系列に沿って整理してみます。

 少々「踏み込んだ(R15的な)発言」もございますが、なにせ「出生の秘密」というハナシですので、なにとぞご容赦のほどを。てゆうか、あくまでブンガク的妄想、フィクションの中のハナシですからね。

 決闘の結果、薔薇の花嫁(ガートルード)とデンマークの王冠を手に入れた先王ハムレットですが、恋人と引き裂かれて泣く泣く結婚したガートルードの心までは手に入らなかったのでしょう。その証拠に、ハムレット王とガートルード女王の間にはそれ以後、一人も子供が生まれませんでした。寝室を共にしても体を許さなかった、ということも考えられます。ハムレット王は、その鬱憤を外に持って行くしかなかったでしょう。
 ポローニアスが、妻を「奪われた」のか「寝取られた」のか「差し出した」のか、そのへんは分かりません。ともかく、ポローニアスは「王の落胤」を自分の娘として育てることになります。

 これがポローニアスに、結果として計り知れない利益をもたらしたであろうことは、想像に難くありません。なにしろデンマークの本当の「女王」はガートルードなのですから、ハムレット王はこの不義密通を公にすることはできません。

 王はポローニアスに大変な「借り」を作ってしまいました。彼が宰相にまで登りつめたのも、王国最大のタブーを握っている、つまり「オフィーリアを手許に押さえている」からなのです


 クローディアスが先王を「暗殺」して王位を奪うと、ポローニアスはこんどは、この「秘密」を新王夫妻に高く売りつけます。

 新王夫婦は「自分たちの本当の息子・ハムレット王子を「私生児扱い」から開放して王位を継がせたい、と考えています。そんな新王夫婦にとって、先王の落胤である娘、というのは、話を厄介にする面倒な存在です。さっさとどこか外国にでも嫁に行ってくれればいいんですが、そこはポローニアスががっちり娘をガードしています。ポローニアスにとってオフィーリアは、髪に触れると魔法のパワーを貰うことができる「切り札」です。簡単に手放すわけにはいきません。
 しかし、ここで「八方丸く収まる」妙手があります。つまり、ハムレットがオフィーリアと恋仲になって、結婚してしまえばいいじゃないですか。思いつくとすれば、たぶんガートルードあたりです。たとえオフィーリアが先王の娘でも、ハムレット王子は実は先王の息子じゃないことは、彼女自身が一番良く知っているのですから、ノープロブレムです。かなりあとの、オフィーリアの葬儀のシーンで、ガートルードは「ハムレットの妻にと願っていました」と言っていますが、これはたぶん、本心です。


 ともあれ、ハムレットとオフィーリアは電光石火、見事に恋仲になってしまいます。これはハムレットが「父王の葬儀のために帰国した」あとの出来事のはずですから、ロミオとジュリエット並みの早業です。
 ポローニアスとしては、余り面白くない事態です。魔法の素の娘が、いつのまにか家の窓から逃げ出そうとしているのですから。なんとか阻止したい、どうしてもというならできるだけ値をつりあげたい、というわけで、レアティーズ旅立ちの直後の「お説教シーン」になります。ハムレット王子の恋心などニセモノだから諦めろ、今後はデートも文通も禁止だ、という命令を、オフィーリアはこれも父の愛ゆえ、と思い「わかりました」と一応納得します。


 ところが。そのあと、ハムレットが突然、オフィーリアのもとにやってきて、奇妙な行動をとります。オフィーリアの顔をしげしげと見て、絶望したような表情を浮かべて首を振り、去っていった、という・・・。ハムレットはいいったいこのとき、何をしていたんでしょうか?

 

 明日に続きます。