えのき茸
歯にはさまる
だけなのに
無いと淋しい
賑やかし茸

それはさておき。

観光バスも大挙止まる秘湯、
鶴の湯に行ってきた。
なんともいえない風情と人気は
おそらく北東北でも一、二。
今までは日帰りで
風呂に入りもしない観光客が
ゾロゾロと来てカメラを向ける中で
落ち着かないまま風呂に入ったが
今回は初の宿泊。
しかも念願だった「本陣」棟。

折しも今季初の積雪とかで
絵に描きたい趣のタイミング。
露天の湯は熱すぎず温すぎず
ほどよくとろりと乳の色に満ち。
外国人の姿もちらほら。

夕飯は部屋食、
メインは名物「山の芋鍋」。
炭の火はぜる囲炉裏に
串の岩魚に塩を振って刺し
「またちょくちょく来ます」と給仕の人。
ちょくちょく?何しに?と思っていたら
片面をひっくり返しに。
ん?また来たと思ったら
今度は腹の部分を火に向けて刺し
「あと7分位で食べられます」。
焼き方のこだわりと
5分でなく7分というカウントに感じた
並々ならぬ岩魚愛。

ランプと裸電球だけの部屋は仄暗く
テレビもなくソフトバンクは圏外、
いいのだいいのだそれで大満足。
隣の部屋で騒ぐ熟年馬鹿夫婦二組に
飛び蹴りしたかったことを除けば。


画は鶴の湯の門。
時代劇のセットみたいでしょ?
向かって左側が
350年前の佇まいを
そのまま保存している本陣。
ここに一度は泊まりたかった。
夢、また一つ叶った。