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2005年暮れより、2本のタイ映画が全国順次公開されている。
いずれもアクション映画で、実際テイストは随分違うのだが、
邦題が似通っていて(一方の原題は邦題とまったく違う)、
製作スタッフも似たりよったりで、ややこしいので、
まず最初に整理しておこう。

タイでの公開順で言うと、日本で最も遅れて公開された
『バトル7』(原題:ヘブンズ・セブン)が、2002年で最初。
同作のプロデューサー、プラッチャー・ピンゲーオが監督した
『マッハ!』(原題:ムエタイ・ウォリアー)が、2003年公開
(日本では2004年に公開されている)で、同監督が再び製作し、
『マッハ!』のアクション監督パンナー・リットグライが監督した
『七人のマッハ!!!!!!!』(原題:ボーン・トゥ・ファイト)が
最近の2004年公開、という順番になっている。

(以下、面倒なのでタイトルの「!」マークは省略する…!)

今回は、ちょっと怒っている(ホントにちょっとだけです、笑)。

そもそもCGなし、ワイヤーなし、スタントマンなし、がウリの
アクション映画『マッハ!』は、一部評論家の絶賛でブロガーの
「年間ベスト10」にも入るぐらい評判だったらしいのだが、まず
それが信じられない。実は、この『マッハ!』は見てないので、
あんまりどうのこうのと言える立場ではないんだけれど、どうも
『七人のマッハ』が『マッハ!』をさらにパワーアップした感じ
のアクション映画であるという宣伝文句や、その『七人のマッハ』
評を見るにつけ、『マッハ!』がそれと同類のどうでもいい映画
のような気がしてならない。

基本的に、素晴らしいアクション映画というのは、物語における
必然性や緊迫感の中で、初めてスタントシーンも生きてくる。
どんなに凄いスタントシーンをつなげたところで、無味乾燥な
物語の中では、ちっとも盛り上がらないし、退屈極まりない。
『七人のマッハ』は、その典型。そんなのが見たい人はスタント
のドキュメンタリーを見ればいい。それで事足りる。そういう
アクション映画は評価したくない。決死のスタントには拍手を
贈りたいが、それをつなげただけのドキュメンタリーにした方が
まだマシ、みたいな物語を延々見せられるのは拷問に近い。

こんな映画が、そんなにいいのか???????
まったく信じられない。我が目を疑う。

実際、『七人のマッハ』の最大の見どころは、エンドロールに
流れる生身のスタント失敗シーンの数々だ。NGシーンの方が
迫力があって見応えがあるということは、そんなドキュメント
部分だけで充分、あとは寝ていても、まったく損しないレベル
ということだ。そこまで言える映画は滅多にない。総合評価★、
っていうか、眠気との戦いがメインになって判定不能だ。

ところが、いくつかのブログを見る限り、『七人のマッハ』は
「絶賛」までいかないにしても、ヘンに評価されている。前作
の『マッハ!』よりいい、とも悪い、とも書いてない。きちん
と評されているとは到底思えない。不思議でしょうがない。
これはオカしい。さらに、この邦題もオカしい。

この映画は、スタントシーンを寄せ集めたアクション映画なので、
俳優を使わず、ムエタイ、テコンドー、体操、サッカー等のプロを
主役に配して撮影されただけあって、物語や演技はどうでもいい、
ということらしいのだが、アホでも主役のプロが七人なのかどうか
数えればわかるものを、あえて「七人」(実際はもっと多い!)と
しているところに、この映画のC級以下のいい加減な作りが表れて
いると言っていい。ただし、映画のノリ自体はいい加減ではなく、
演出スタイルは結構マジだから、余計にタチが悪い。

それに比べれば、『バトル7』の方がオープニングの地雷シーン
からして相当いい加減なノリで面白い。オリジナルは1950年代に
製作された国民的物語らしく、タイに駐留する米軍憎しの感情が、
マカロニ・ウェスタンばりの娯楽アクション映画(タイ人たちは
アクション西部劇が好きなのか、そういうタイ映画が少なくない)
に結実している。何より、7人のキャラクターがきちんと立って
いる点だけでも、『セブンソード』などより遙かによくできている。

『七人のマッハ』は根本的に七人じゃないので、キャラクターの
描き分け以前の問題。話にならない。『セブンソード』の方が
人数を数え間違えてないだけ、まだマシ…(なんと低レベルな!)

もちろん、単純明快な米軍=悪者の構図やヘタウマな特撮シーンは、
無邪気なB級映画のノリなので、真剣に見るほどのアクション映画
じゃないが、米軍をやっつけてタイ国民の溜飲を下げ、続編も製作
されるほど愛され大ヒットしたというのは、わからないでもない。
(……総合評価★★★)

でも、二挺拳銃の主人公のオヤジは、なんで赤パン(赤いパンツ)
を履いているんだろう。意図がよくわからない。確かに目立つこと
は目立つけど、日本の女性には好まれそうなキャラじゃないね……
相対的に皆さん、暑苦しいタイプ。タイだから仕方ないのか(笑)。

何はともあれ、この勝負『バトル7』の圧勝です!
くれぐれもタイトルを間違えて見てしまわないように……。



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