東京ゾンビポスター東京のど真ん中、処分に困った粗大ゴミや死体、産業廃棄物で
できたゴミの山が黒く高くそびえ立っている。「黒富士」
と呼ばれる、現代の日本の「終末的無倫理感」の象徴だ。

その発想と映像だけで、半端でチープなB級ホラーじゃない
とわかる『東京ゾンビ』(2005年12月13日より全国順次公開
なので、まだギリギリ公開中の劇場も少なくないだろう)は、
とんでもないブラックコメディだけど、ある意味では日本初の
正統派ゾンビ映画とも言える、快(怪?)作。

実際、この映画に出てくるゾンビは、1、動きが極端に遅く、
2、生きてる人より遥かに大人数で、3、生きた人のみ襲い、
4、ゾンビに嚙まれた人はゾンビになって増殖し続ける、

などの点において、本家ジョージ・A・ロメロ監督が創造した
ゾンビ(生きる屍)そのものの終末的世界感と暗黙のルール、
そして、全く同様のメイクと動きがきちんと踏襲されている。



ハピネット・ピクチャーズ
ゾンビ ― ドーン・オブ・ザ・デッド



ハピネット・ピクチャーズ
ドーン・オブ・ザ・デッド~ゾンビ:ディレクターズ・カット・エディション~

これを単なるパロディ映画として片づけたくないのは、
本家ゾンビ映画と同様のテーマ性と世界観、そして、
本家以上とも思える訴求力と面白さがあるからだ。

とはいえ、この手の映画を2005年公開日本映画ベスト5の4位(!)
に入れてしまうことになろうとは、夢にも思わなかった……。他に
これより面白いと思える映画が少なかったってことなんだけど、
見た映画の半数以上が及第点にも達しないというレベルの日本映画
において、これぐらい面白ければ及第点を付けられると断言できる
「なかなかよくできた娯楽映画」だと思う(……総合評価★★★、
本当はもっと評価してあげてもいいかもしれない……)

その日も仕事時間中、柔術の練習に励んでいた主人公の二人
(浅野忠信、哀川翔)が、勢いで殺してしまった上司の死体を
「仕方ねえなあ」と何の迷いもなく、「黒富士」に捨てに来る
と、同じような輩が結構、いるわ、いるわ、そこら中で殺人
(なかには姑を生き埋めに来た若妻も……)やら死体処理が
普通に行われている、倫理観もへったくれもない世界観。

決して、良い子の皆さんに見せてはいけません!
精神年齢が子供の大人にも見せてはいけません!

案の定、「黒富士」からは何の脈絡もなく死体が蘇り、
生きてる人間を次々に襲っていく。というより、ほとんど
主人公たち以外は、すでにゾンビ化している、という状況。

ついに柔術の師匠、ハゲ頭の哀川翔もオバさんゾンビに嚙まれ、
自ら河に飛び込む。カナヅチの相棒、浅野忠信は救いにいけない
……というトボけた二人の初共演が、また実にいいコンビなのだ。

「本当に強くなりたいならロシアに行って武者修行を積むんだ」
という哀川翔に、「どうせ行くならアメリカがいいんだけど…」
と、ボケる浅野忠信。「バカ!」と、一喝する哀川翔。
「本当に強い奴はロシアにゴロゴロいるんだ!」…… みたいな、
冗談とも真実とも取れない会話が延々続く、そのセンス。

この脚本を書いたのは、これが監督デビュー作となる佐藤佐吉
という人。なんと、大好きなテレビ番組『オー!マイキー』
(テレビ東京系、会話のみで動かないマネキン人形しか出てこない
ホームドラマの傑作!……よくわからない、ですか?)の脚本家
だった!……それで、納得。道理で「病み付き」になるわけだ。
しかも、『キル・ビル』やら『ローレライ』やら、相当の映画に
出演もしている(!)という、変わった経歴の人らしい。

この人を日本インターネット映画大賞の監督賞と新人賞に入れようか
と迷ったぐらい。結果的には両方とも『隣人13号』の井上靖雄監督に
入れてしまったんだけど(ゴメンなさい!)、もう忘れませんよ、
この名前。要注目の監督さんになるでしょう!

ふーっ、やっと紹介できました、この映画……(笑)。
まだ年末から1月にかけて公開された映画で、見たのに紹介してない
作品が何本かあるんですよねえ。また書く時間がなくてオクラ入り
なんてことになると申し訳ないので、今月中に書きたいと思っている
作品一覧として事前に「総合評価」だけ、忘れないうちに書き留めて
おきます……このうち、何本書けることやら……(笑)。

『ザ・コーポレーション』★★★(カナダのドキュメンタリー大作)
『非日常的な彼女』★★★(ベタベタ韓流感動コメディ)
『アメノナカノ青空』★★★★(韓流爽やか系感動ドラマ)
『あぶない奴ら』★★★★(ベタベタ韓流アクションコメディ)
『七人のマッハ!!!!!!!』★(タイ式アクション)
『バトル7』★★★(同上……以上、12月公開)
『るにん』★★★(松坂慶子主演の時代もの)
『ガッツ伝説 愛しのピット・ブル』★(コメディ?)
『プルーフ・オブ・マイ・ライフ』★★★(シカゴの現代劇)
『プライドと偏見』★★★(英国式文芸メロドラマ)
『ギミー・ヘブン』★★(江口洋介、松田龍平主演の現代劇)
『スパイモンキー』(眠っちゃったので、よくわからない)
『スパングリッシュ』★★★★(カリフォルニアの現代劇)
『ブラックキス』★★★(予測不能のサイコサスペンス)
『ミラーマン』★★(TVヒーローもののリメイク)
『フライトプラン』★★★(サスペンスアクション)
『白バラの祈り』★★★(ドイツの感動実話……以上、1月中公開)

ひえ~っ、これじゃ一日一本ずつ書いてっても無理!
どっから手をつけましょうか……?
ご希望があれば、是非コメントください!