ヘイフラワーとキルトシューひゃ~!!
時が経つのは早いもので、アッという間にもう11月。
10月中旬に公開された映画を大慌てで紹介しなくちゃ…。

単館系なので、まだ公開中だと思うんだけど、
見てない方は是非、『ヘイフラワーとキルトシュー』を
ご覧になってください。こんな素敵な田舎なら住んでみたい!
と思わずにいられない、「森と湖とサンタとムーミンの国」
=フィンランドの美しい風景と生活が満喫できるホームドラマ
で、とっても幸せな気分になれること、請け合いですよ!

2002年にフィンランドで製作された小品(上映時間72分)ながら、
同国における歴代興行記録を塗り替える大ヒットを記録した
こと自体、信じられない安上がりな内容のホンワカ系映画だ。

主人公は、しっかりものの姉=ヘイフラワー(7歳)と
姉に何でもやらせるワガママ三昧の妹=キルトシュー。
父親は自宅でジャガイモの研究を生業としているらしく、
ジャガイモに関しては哲学的でうるさいぐらい熱心だが、
それ以外のことは放ったらかし。遊んでくれない父親と、
家事にまったく興味がなく「外で働きたい」とそればかり
考えている母親に反発して、二人姉妹は近所の家へ勝手に
引っ越したり、自分の主張ばかりしている両親と妹についに
いいコだった姉がキレて、一切口をきかなくなったり……
とはいえ、これっぽっちもシリアスな雰囲気はない。

夏が舞台のせいか、ほのぼのとした田舎の家の風景が
とってもキレイで、近所の人々がまた暖かくポップで、
まるでビートルズの「ペニー・レイン」に住む人々みたい。
差し詰め、フィンランド版「サザエさん」といった風情だ。

ある意味、こんなたわいもない話が大ヒットするフィンランド
という国のことを間違いなく大好きになってしまうだろう。

フィンランドといえば、最近は携帯電話メーカーの「ノキア」
が有名だが、もともと東郷元帥の顔がトレードマークの
ビールを発売しているぐらい、親日的な国。

日本のことが嫌いな韓国や中国と比べ、ついフィンランドの
肩を持って評価が甘くなってしまうのは仕方ないことなのだ
(関係ないか?)……総合評価★★★★!(笑)

ただし、実際のフィンランドは、サンタクロース誕生の地
と言われるぐらい、過酷な冬の寒さとキリスト教の国。
冬のフィンランド映画はあまり見たことがないけれど
(フィンランド映画自体、ほとんど見た記憶がない)、
ジム・ジャームッシュ監督の不思議な魅力に溢れた名作
『ナイト・オン・ザ・プラネット』(91年)の最後の章で、
『ヘイフラワーとキルトシュー』の世界とはまったく異なる
極寒の夜のヘルシンキ(フィンランドの首都)が舞台として
描かれていた。この映画のフィンランドは、まるで地球の
「最果ての地」の如く、寂しいところだった。
そんな両極端のイメージがフィンランドには存在する。

ちなみに、『ナイト・オン・ザ・プラネット』は、
ティム・バートン監督の『シザーハンズ』に続いて出演した
若い頃のウィノナ・ライダーの最も印象的だった映画。
ロサンゼルス、ニューヨーク、パリ、ローマ、ヘルシンキ
の5都市で同じ夜(同じ時間帯)に起きた話なのだが、
時差があるので、最初の章のロサンゼルスでは夕方、
最後の章のヘルシンキは夜中という感じでつながっている。
そういう面白い見方で、地球という星で同時に起こっている
ストーリーを描いて見せた。今、見ても新鮮な切り口だろう。

(ローマ編では『ライフ・イズ・ビューティフル』のベニーニも出てくる!!)

ジム・ジャームッシュ監督は、いつもそんな宇宙的な
俯瞰の視点で人間の物語を見せてくれるような気がする。
それが、なんとも知れん無常観に溢れた作風になって
いるんだよねぇ……総合評価★★★★

今度はまた違うフィンランド映画も見てみたいね。



ビクターエンタテインメント
ナイト・オン・ザ・プラネット




ヘイフラワーとキルトシュー