長沢樹 多重迷宮の殺人(東京創元社・文庫) | 勝手に映画紹介!?eigasukiの読書忘備録用ブログ

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多重迷宮の殺人 (創元推理文庫) [ 長沢 樹 ]

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古本入手してあった2023年10月発行、長沢樹の「多重迷宮の殺人」を読了…2014年発行の単行本「武蔵野アンダーワールド・セブン―多重迷宮―」を全面改稿して文庫化したもの。オリジナルの方は未読なので、どの程度の改稿が行われているかは未確認。舞台は1980年の日本…首都圏の地下遺構で連続刺殺事件が発生中。刑事の息子である男子大学生をはじめ、彼が世話役を頼まれている訳あり女子大生、ならびに2人の共通の友人である資産家一族の息子は地下遺構探索サークルのメンバーであり、捜査コンサルタントの資格も有していて、警察の捜査にも協力している。詳細を説明するのは面倒なので省くけど、なんで大学生が捜査に首を突っ込めるのかなど、メイン登場人物たちは、物語にも深く関わるちょっと特殊な人物設定や関係性はあります。中でも、女子大生が抜群の推理力を持っていて探偵ポジションを担っている、刑事の息子の方がワトソンポジ。やがて、“地下遺構の連続刺殺事件”の捜査の延長で…名門令嬢から依頼のあった“別荘の地下施設の調査”に挑むことになるサークルの3人。地下施設=秘密の出入り口を探し当てると、そこにはだだっ広い鍾乳洞が広がっていて、地下要塞、シェルターのような役割をしていたらしいんだけど、なんとそこで新たな死体が見つかる!さらに、連続刺殺事件の容疑者として絞り込んでいた“複数の人物”を含む闖入者が現れ、さらにさらに一堂が会したところで地震が起きて、地下施設の入り口が埋まってしまい、中に閉じ込められてしまう!さらにさらにさらに…案の定、出口を捜しているうちに、新たな殺人事件も発生、1人また1人と犠牲者が増えていく…。いったい犯人は誰なのか?今までの連続刺殺事件と同じ犯人なのか?そして無事に地下から脱出できるのか?閉じ込められた地下施設で殺人事件が起きるという“クローズドサークル展開”は、数年前に読んだ夕木春央の「方舟」と雰囲気がよく似ていた…でも、本作のオリジナルの方が10年も前の作品なので、たぶん「方舟」が似てたんだと思う。物語の中で、“この人たちが怪しい”とある程度犯人を絞り込む情報が提示されてるんだけど…ちゃんと仕掛けがあるので、最後までどいつが真犯人なのか、何度も揺さぶられる。それプラス、やっぱり無事に脱出できるかどうかだよね…あれ、これって探偵役も含めた全員全滅のバッドエンドもありえるんじゃないか?なんて心配になるほど、最後まで緊張感が漂っていて面白かった。単行本の方は、既に続編が出ているようなので…またそちらも全面改稿の文庫版が出たら、ぜひ読んでみたい。


長沢樹 多重迷宮の殺人(東京創元社・文庫)