大統領の陰謀(1976年)
WOWOWのメリル・ストリープ特集で放送された「ソフィーの選択」を鑑賞した影響で、アラン・J・パクラ監督作品を見たくなり…続けて「パララックス・ビュー」を鑑賞、その流れでもう1本、パクラ監督の代表作の1つ「大統領の陰謀」を久しぶりに再鑑賞する。時の大統領ニクソンを失脚に追い込んだ“ウォーターゲート事件”を扱った社会派サスペンス。手元にあったエアチェックディスクはやはり13年前にWOWOWで録ったものだった…。たまにNHKのBSでもやってるよね…大昔、学生の頃に見た時も、確かNHKの放送を録画したビデオだった気がするなぁ。
1972年6月17日の深夜…ワシントンのウォーターゲートビルにある米民主党本部で不法侵入事件が発生、現場で5人の不審者が逮捕された。この5人は元CIA職員や大統領再選本部の関係者であり…後に控える大統領選をかく乱する目的があった!この事件の裁判を傍聴することになったワシントン・ポストの記者ボブ・ウッドワードは…弁護士が官選ではないことに注目し、事件にはまだ隠された部分があるのではないかと考える。そこで同僚のカール・バーンスタインと共に調査を開始…やがて謎の情報提供者“ディープ・スロート”が接触してきて…。
WOWOWで録画をしてあったけど…今まで見返す機会がなかったので、ウォーターゲート事件を扱った作品、ロバート・レッドフォードとダスティン・ホフマンが出ているというくらいの印象しか残っていなかった。あと、地味なうえに、人の名前を覚えるのが大変だったのはなんとなく覚えていた。ウォーターゲート事件自体は自分の生まれる前の話、映画だってまだ物心かつく前の作品なのでリアルタイムでは見ていない。しかし、本作以外にも…度々映画の題材として扱われることもあるので、ある程度の、それこそ基本的な事柄は知識として持ち合わせてはいる。
久しぶりの再鑑賞…感想はそこまでかわらないな。今見ても、覚えなきゃいけない名前が膨大であり…自分でも内容の半分くらいしか理解できていない気がする。陰謀ものではあるんだけど、それこそ昨日見た「パララックス・ビュー」のようなサスペンスフルで、緊張感ある展開が全編に渡って続くような作品とはだいぶ毛色が違うもんな。基本は…新聞社の若手記者であるレッドフォードとホフマンが地道に取材をしていく姿を淡々と追いかけており、なかなか口の堅い取材対象者や、取材に懐疑的な態度を見せる新聞社の上司・幹部相手の駆け引きが中心だ。
話は地味なんだけど、若い頃よりは見る場所は増えたかな?妨害やら圧力やらで…思うように取材が進まなくても、決して諦めないジャーナリスト魂。確かに、今の時代では通用しない取材方法も多いんだろうけど…どんなスクープにも慎重な裏取りが必要で、文章の一つ一つに執筆者としての責任感を忘れない…ジャーナリストの矜持、姿勢はしっかりと伝わってくる。現代のネット社会にあふれるコタツ記事とは違うなにか…あんなもんでジャーナリスト風を吹かしている連中に本作を見て、本来のジャーナリストの気概を思い出し、学んで欲しいものだな。
今の日本じゃこういう作品ってなかなか作れないよね…せいぜいモデルにした実事件に似た内容のフィクションとかになっちゃうじゃん。ネトフリとかで「総理大臣の陰謀」とか言って…裏金問題とか過去のあれやこれやに切り込むような作品を、実名入りでやってほしいよな。そういえば…虚実が入り乱れたなんかのコメディで、ひょんなことから“ウォーターゲート事件”の目撃者になっちゃう映画ってなんだっけ?って、ずっと考えてたんだけど、それらのキーワドを入れてググったら一発で判明、そうかトム・ハンクスの「フォレスト・ガンプ 一期一会」の一幕だった。
ロバート・レッドフォードとダスティン・ホフマンが…同世代の若手記者として、切磋琢磨しながら取材に向き合う姿が描かれている。ダスティ・ホフマンって…自分が今まで見てきた映画のイメージで、もっと線が細い感じ、なよっちい、弱っちい、どちらかというと三枚目のイメージの方が強かったんだけど、この映画では最初からイケメンポジだとわかっているロバート・レッドフォードと並んでも遜色がない…いや、役柄的にもレッドフォードよりも優秀そうに見えるんだよな。あれ、ダスティン・ホフマンって意外とカッコいいなって、今さらながらに思ったりもした…(笑)
監督:アラン・J・パクラ
出演:ダスティン・ホフマン ロバート・レッドフォード ジェイソン・ロバーズ マーティン・バルサム ネッド・ビーティ
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