キリコの風景（１９９８年）
ＷＯＷＯＷの女優・小林聡美特集でエアチェックしておいた「キリコの風景」を鑑賞…特集内の他のラインナップ（2000年代以降のもの）に琴線が触れるものはなかったんだけど、90年代の見ていなかった映画には興味がわく。こちらは杉本哲太が主演で…小林聡美は哲太の前から消えてしまった元妻の役で出ている。脚本が故・森田芳光で、監督はあまり存じ上げない方だったが…森田芳光監督作品で助監督を務めていた人だそうで、オムニバズ映画「バカヤロー！4」内の一編や舘ひろしの「免許がない！」（昔、テレビ放送で見た記憶がある）を撮ってる。
東京から函館にやって来た村石陽介は、西川洋一が運転手を務めるタクシーに乗車…貸し切りにできないかと相談し、交渉が成立する。その後、村石は…マンションを見て回りたいと目的を告げ、西川の友人でもある不動産会社の海田勉が合流…マンションへと案内する。なぜか西川にも一緒に付き合うよう頼み…3人で物件を見て回るが、村石の本当の目的は、問題を抱えた住民と対面することだった。最初こそ村石の行動に面食らう2人だったが、住民を時に癒し、改心させる村石の不思議な力に魅了される。そんな村石には、もう一つの目的があり…。
見た目、雰囲気がとにかく怪しく、胡散臭い杉本哲太が、函館にやって来て…勝村政信の運転するタクシーを貸し切りにする。観光ではなく、マンションを見て回りたいという哲太の申し出に、不動産会社の利重剛も合流。3人でマンション巡りをはじめる。哲太はなぜか勝村政信にも物件巡りを付き合うように命じ、他の2人は不審に思いながらも一緒に行動する。物件の下見中にも、明らかに挙動がおかしい哲太…さらにエントランスの郵便ポストをジっと観察すると…特定の部屋を訪れたいと言い出す。そして、身分を偽り、目的の部屋へズカズカと上がり込む。
在宅していた派手な主婦と会話…マンションの管理人と勘違いをし、苦情を投げつけてくる主婦。哲太はジっと部屋と主婦を観察し…その後、いきなり“万引き行為をやめるように”と咎める。何が何だか分からず、慌てる2人、管理人じゃないことに気づき、責め立てる主婦。でも、まったく動じない哲太が更に糾弾し、なんと主婦は、本当に万引き癖があることを告白、懺悔を始める。そこまでやったのに…自分に言われても困ると、突き放す哲太。いったい何者なのか？その後も、別のマンンションへ向かい…住民の秘密を暴いたり、改心させたりすることに。
付き合わされている2人も、最初は“絶対にヤバイ人”だと思い込んでいたけど、すっかり哲太に心酔してしまう。翌日も、仕事があるという勝村の代わりに、利重剛が運転手役を買って出て、一緒に行動することになった。わりと早い段階で…哲太の過去は明かされる。その過程で、嫁さんの小林聡美が自分の前から姿をくらませてしまったこともわかり…どうやら、逃げた嫁さんを捜しているというのもわかる。とにかく哲太の謎行動と、嫁さん捜しで物語が進んでいくんだけど…その嫁が“どこにいる”のかも、視聴者にはけっこう早い段階で明かしちゃうのよね。
個人的には、もうちょっと引っ張っても良かったかなと思うけど…その代わり、ニアミスする緊張感は確かにあった。おお、まだここじゃ再会しないのか…と。物語の中盤あたりで、やけにあっけなく再会も果たしちゃうんだけど…そう簡単にはヨリを戻せない状況にはなってまして、元夫婦、プラスもう1人の駆け引きが面白おかしく描かれていく。タクシーでの移動シーン、タクシー内での会話なんかも多いんだけど、そういえば…森田芳光脚本の「バカヤロー！」シリーズにも、タクシーの運ちゃんが主人公のエピソードがあったよな？こういうのが好きだったのかな？
監督：明石知幸
出演：杉本哲太 小林聡美 勝村政信 田口トモロヲ 木根尚登 赤星昇一郎 利重剛
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