スモーク(1995年) | 勝手に映画紹介!?

スモーク(1995年)

スモーク デジタルリマスター版 [Blu-ray]

 

WOWOWの“あなたの映画館”という視聴者リクエスト企画で…「スモーク」が放送されていたのでエアチェックして鑑賞。詩人、作家として知られるポール・オースターの短編小説を、本人の脚本、「ジョイ・ラック・クラブ」のウェイン・ワンが監督を勤めて映像化…前述2人の共同監督による姉妹編的な「ブルー・イン・ザ・フェイス」という作品もあり、どちらもハーベイ・カイテルが出演、同じキャラクターを演じている。残念ながらWOWOWの放送は本作のみ。当時、レンタルビデオでどちらかを見ている気が…たぶん、「スモーク」の方だと思うけど、内容忘れてた。

 

ブルックリンの街角でたばこ屋を営むオーギー・レン…そんな彼の店の常連客で、作家のポール・ベンジャミンは、数年前に妻を亡くして以来、執筆が思うように進んでいなかった。ある日、ボーっとしながら道を渡ろうとして、車に轢かれそうになるのだが、たまたま通りかかった黒人の少年に助けられる。ラシードと名乗った少年に恩義を感じたポールは、自分の部屋を宿泊場所に提供すると提案。最初は断ったラシードだったが、後にポールの部屋にやって来て、2日ほど滞在。後日、ラシードの叔母が現れ、名前が偽名で、家出中だったことも判明するが…。

 

オースターが監督した「ルル・オン・ザ・ブリッジ」のところでも似たようなことを書いた気がするけど、若い頃は、ポール・オースターなんて名前だけ聞いたことがある程度(今も、そんなに変わらないけど)、タラちゃんの「レザボア・ドッグス」を見た影響で、ハーベイ・カイテルの渋さにかぶれていて、とにかく出演作を片っ端から見ていたんだけれども、これもそんな1作だった気がする。映画祭とかで賞を獲ったりしてて話題にはなっていた…いわゆるミニシアター系映画っていうヤツで、こういう作品を見たというだけで、オシャレで映画通になった気分に浸れた。

 

ただ…若い頃は、他のカイテルが出演しているアクションもの、バイオレンスものに比べると、どことなく地味で、自分の好みではないなと思っていた。そんなオイラでも…年を重ねて、再鑑賞すると、こういう作品が心にしみたりするから不思議よね。やっぱりね、詩人としても有名なオースターが脚本を書いているので、セリフの一つ一つが本当に詩的だなと。いや、翻訳しているのは戸田奈津子なので、本来のセリフの素晴らしさみたいなのは完全には伝わり切れていないとは思うけど…それでも、登場人物もみんな詩人に見えるくらいセリフがカッコいいのよね。

 

たばこ屋を営むハーベイ・カイテルを中心に、その周りに様々な人間が関わってくる群像スタイルの作品…常連客の1人で、作家のウィリアム・ハートが黒人の家出少年と出会ったことで、ドラマが広がりを見せていく。登場人物たちが密接に絡むことで、物語が進み…カイテル、ハート、黒人少年、主要登場人物の過去なんかも浮き彫りに。セリフが詩的でカッコいいというのとも深く関わることなのだが…登場人物が嘘をつくことも多かったりするのが特徴だよね。毎日同じ場所で写真を撮ることを日課にしているカイテル…その理由が判明するクライマックス。

 

やはり根底には“嘘”があったんだけど、その“嘘”のおかげで、その後の様々な“奇跡”にも繋がったのかなと。こうしてちゃんと見ると、話が色々な方向に行ったり来たりしながら、登場人物がニアミスし、それぞれに影響しあって…なんて構成は、タランティーノ映画に近いものもあるな。カイテルの長セリフで魅せるようなシーンもあるし、バイオレンスだって少ないけどなくもない。タランティーノはセリフの中二病的で下品なところが魅力だけど、こちらはもっと大人で、詩的だという。無知だった若い頃は、この作品の魅力に気づけなかったけど…面白かったです。

 

 

監督:ウェイン・ワン

出演:ハーヴェイ・カイテル ウィリアム・ハート ハロルド・ペリノー フォレスト・ウィテカー アシュレイ・ジャッド

 

 

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