ミステリと言う勿れ(2023年)
WOWOWでエアチェックしておいた「ミステリと言う勿れ」を鑑賞…同名コミックを映像化したフジテレビの連ドラがあり、その劇場版。原作は未読だが…ドラマ版の方はタイトルに惹かれて、放送当時に全話鑑賞した(第1話にエンケンさんが出てたのも鑑賞に繋がったな)。映画公開前にやってたスペシャル版みたいなヤツは見てないけど。まぁ、毎週追いかけて最後まで見たって点では、フジテレビのドラマにしちゃ、まともだったのかなと…。そういえば、「アンダーカレント」に「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」、そして本作…珍しく邦画が続き、みんな漫画原作だな。
展覧会を鑑賞するため、広島を訪れていた大学生の久能整は、見知らぬ女子高生・狩集汐路から声をかけられる。汐路は整の顔見知りでもある犬堂我路から整を紹介されたと言い、自分の命が狙われていることをほのめかし、ボディガードを依頼。詳しい事情もわからぬまま汐路に引き連れられ、狩集家で行われる遺産相続に関する遺言状の開封に立ち会うことになった整…8年前に汐路の父親を含む4人の後継者候補が事故死したせいで、当主の死後、孫にあたる汐路、狩集理紀之助、波々壁新音、赤峰ゆらの4人が、相続をかけて謎解きをすることに!
冒頭、車がガードレールを突き破り、谷底に落ちて大炎上するというなかなか物騒なシーンから…一昔前の映像作品なら、廃車寸前のボロ車を実際に崖から落として火だるまにしたりするんだろうけど(もしくはミニチュア)、今は明らかにCGの安っぽい映像だよな。間に永山瑛太演じる犬堂我路を意味深にチラ見させたのに続き、主人公の整がいきなり広島にいて、いきなり見ず知らずの女子高生に話しかけられ、いきなり遺産相続の開封に立ち会わされることになると…なかなか強引な展開。後に、整が広島にやって来ていたのも“計られた結果”だと判明。
フォーマット的には「犬神家の一族」のパクりなのだが(作り手としてはパロディのつもりだろう)、客がツッコむ前に、主人公の口からズバリのタイトルを言わせてしまうのはどうかと思う。まぁ、今の若い人たちには、このくらいのことをしなきゃパロディだって伝わらないのかもしれないけど、せめて“なんだ、犬神家やん!”と、すれっからしのミステリファン、映画ファンの客にマウントを取らせるくらいの余裕、心意気があってもいいのではないか?ああ、そうなのか…だからWOWOWでは、この作品が初放送される前の昼間、「犬神家の一族」を放送してたのか…。
でも、そのわりにだよ…冒頭で4人も死んだのに(事故なのか、殺人なのか、劇中でも議論される重要な話)、リアルタイムでは全然死人が出ず、中途半端な謎解きと過去の事件を掘り返すことばかりしてて退屈だ。一族同士のドロドロも、実は全然なくて…パクるなら、そこパクれよって思ってしまった。まぁ、整のように監察の結果ではなく、あくまで直感なんで、偉そうなことは言えないけど…真犯人も想像通りのヤツで、捕まえ方も雑。今、BS松竹東急で見てる江戸川乱歩の美女シリーズ(昭和のドラマ)だって、もう少し探偵役と犯人の対決に緊張感があるよ。
うーん、レギュラーのドラマ放送の方が、普通に面白かった、ちゃんと整と犯人のやり取りに緊張感があったと思うんだよな。っていうか、最後に出てきた“あの女”が一番ダメだろ…シレっと感動系に持って行ってるけど、事情を知っているならもっと早く警察にでもなんでもタレコメよって話。鈴木保奈美、柴咲コウ、松嶋菜々子…いかにもフジテレビ感ある女優を無理やりかき集めたようだが、そんなことをするくらいならドラマのレギュラーである、伊藤沙莉の出番を増やして欲しかった。東京の刑事さんたちは、オマケのような扱いで、ちょっとだけ出てきましたね。
監督:松山博昭
出演:菅田将暉 松下洸平 町田啓太 原菜乃華 萩原利久 鈴木保奈美 滝藤賢一 柴咲コウ 松嶋菜々子
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