ＴＩＮＡ ティナ（１９９３年）

BS松竹東急の音楽映画特集（カリスマ集結！灼熱の音楽映画フェス！）でエアチェックしておいた「」を鑑賞…昨年他界したミュージシャン、ティナ・ターナーの自伝をもとに、その半生を綴った1993年の伝記映画。これも、昨日見た「プリンス／パープル・レイン」同様…タイトルは認識していたけど、公開当時はティナ・ターナーにそれほど興味がなかったこともあり、今まで触れてこず、見逃していたタイトルだ。ただ、アカデミー賞とかにもノミネートされていたので、女優アンジェラ・バセットの名前をはっきり覚えた作品であることは間違いないんだよな。

諸般の事情で、幼少期に母親や姉と別れて暮らすことになったアンナ・メイ・ブロックは祖母の元で成長…高校生になり、ようやく母と姉と再会し、セントルイスで暮らすように。やがて、姉に連れて行かれたナイトクラブで、女性人気の高いバンドグループのリーダー、アイク・ターナーと出会う。アイクはアンナの歌唱力の高さに惚れこみ、バンドへと誘う。アンナはティナという芸名で活動をはじめ、直ぐにアイクとも恋仲になるのだが…その後、アイクの女癖の悪さに何度も悩まされる。子供も生まれ、歌手活動は順調だったが、一方で、アイクの暴力に振り回され…。

誰もが羨む人気スターのプライベートは波乱万丈だった。幼い頃から歌が好き、うまかったアンナ、もとい、以降ティナと呼称…は、みんなで教会に集まってゴスペルの練習をしていても、1人だけノリノリ、勝手な振り付けで歌い、踊り、悪目立ちし…指導しているオバチャンからつまみ出されたりする。その後、母親と姉と別れ、祖母の元で暮らすことになったティナだったが、成長してから母親たちと再会。その時に、姉に連れられてナイトクラブに入り浸るようになるんだけど…そこでローレンス・フィッシュバーン演じる未来の夫アイクと運命的な出会いを果たす。

アイクのパフォーマンスの一つで、会場に来ているファンの若い娘たちにマイクを渡して歌わせるというものがあるんだけど、そこで歌好きのティナはとんでもない歌唱力で他者を圧倒、直ぐにアイクからバンドメンバー入りを打診される。田舎育ちの素人娘だったティナは…アイクの強引さにズルズルと引き込まれ、気がつけばバンドの中心メンバーに！アイクには内縁の妻がいるんだけど、親密すぎる2人は疑われる。そしてアイクの妻はティナたちの前で自殺未遂をはかるという衝撃展開…これがきっかけでアイクは内縁の妻からティナに乗り換えることを決意！

ティナも“これが愛だ”と勘違い、コロっと騙されアイクと付き合い、子供までできちゃうんだけど…アイクは“お前のため、子供のため”と言いながら、鬼のようにティナを働かせる。さすがのティナも音をあげそうになるんだけど、そうすると今度は“結婚”で束縛を強化する。しばらくはそれで関係も保たれるんだけれども…曲作りの担当もしているアイクは、才能が枯渇。ティナの歌唱力でなんとか人気を保っていたという感じ。途中から、嫁の事を金づるくらいにしか思わなくなったんじゃないかな？暴力で支配しながら、無茶なスケジュールでとにかく稼ごうとする…。

典型的なDVパートナーとの関係だよね…心身ともにボロボロとなり、子供にまで危害が加えられて、さすがにもう駄目だって思うんだけど、他人から心配されると“大丈夫だと”と答えちゃうし、DV男がちょっと猫撫で声ですり寄ってくれば、ヨリを戻しちゃったりするんだよな。ティナの大躍進の陰では、そんなプライベートが日常茶飯事、繰り返されていたと。物語後半は、そんなDV夫からの脱却、脱却できるのか？が焦点となっていく。物語中盤、無理やり客前で歌わされるも、涙を流しながら客を圧倒させるパフォーマンスで魅了する場面はけっこうグっときた。

身内の恥というか、己の素顔をここまでさらけ出して、人に感動を与えてしまう…やっぱり根っからのエンターテイナーじゃなきゃできない。あと、いきなり“南無妙法蓮華経”と唱え始めた時は面食らったが、仏教徒の知人の影響で…ティナ本人も仏教の教えにすがっていく姿が印象深い。ティナ・ターナーなんて、今まで、貫禄のあるオバチャンだったってイメージくらいしか持ち合わせていなかったが…人間、見た目じゃ何にもわからん、先入観で人を判断しちゃいかんてことだよ。ダメ夫だけど初登場シーンはローレンス・フィッシュバーンもめっちゃかっこよかった。

監督：ブライアン・ギブソン

出演：アンジェラ・バセット　ローレンス・フィッシュバーン　ヴァネッサ・ベル・キャロウェイ　ジェニファー・ルイス

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