わが町Ⅹ 結婚祝いで届いた毒グモは8年前に急死した男からの贈り物(1998年)

昨年11月からBS12で毎週木曜日に放送されていた「わが町」全10作(もともとは日テレの火曜サスペンスで放送)が最終回…この機会に全話鑑賞しようと思って追いかけていた。エド・マクベインの人気警察小説を「太陽にほえろ」などの脚本家・鎌田敏夫が日本風に翻案、主演は渡辺謙。ということで「わが町Ⅹ」を鑑賞…Wikipedia調べによる当時のサブタイトルは“結婚祝いで届いた毒グモは8年前に急死した男からの贈り物”だったが、BS12版は“自ら真犯人を連れてくる、という容疑者の言葉に吾郎は…”に変更。原作は「死が二人を 87分署シリーズ」。
西月島署の刑事・森田吾郎の嫁・繭のずっと疎遠になっていた妹・若菜が婚約者の富川光俊を連れ、実家に現れた。突然すぎる若菜の行動に義母のノブは苛立つも…なんとか結婚が許される。しかし、その後…若菜のもとへ脅迫めいたメッセージが届きが、心配になった吾郎が独自に調べ始めると、次から次へと富川の黒い噂が浮上。調べた結果を若菜に突きつけるも…若菜は富川を信じており、結婚を強行するという。結婚式当日、吾郎が警戒する中、控室で若菜が襲われるも、事なきを得る。その後、披露宴会場である野球場へと場所を移すのだが…。
シリーズのフィナーレにしては、一番の飛び道具だったなコレ(笑)過去9作で描かれてきた、刑事たちのプライベートネタの多くを、“セリフ処理”ながらまとめつつ…渡辺謙演じる主人公・森田吾郎の聾唖の嫁・繭に、いきなり“妹がいた”設定という新たな火種!最終回にして初めて登場の嫁の妹…同僚刑事の中からも“妹なんかいたのか?”ってツッコミが入る。それどころか、長い間、母親や姉に反発して家出をしてたんだけれども…“結婚します”って婚約者を連れてきたから大騒動。久しぶりに再登場した謙さんの義母・春川ますみが、ご立腹な様子。
まぁ、親子のギスギスなんかは…娘のウェディングドレス姿を見たら、コロっと機嫌が変わっちゃうわけですが…なんと義妹のもとへ、送り主不明の不気味なプレゼントとメッセージが届く。中には“毒グモのゴム人形”が入っていて、どうやら結婚に異を唱えるものらしい。そして、その後に発覚する、義妹の婚約者の過去…実は両親は火災で他界、その後、学生時代にライバルのアメフト仲間が急死したおかげで、婚約者は一躍有名になったこともあり、更には…前の恋人が事故死して、その保険金で実家の町工場を立て直していたという胡散臭い人物だった。
いきなり義妹に対して、兄貴風を吹かせ始めた謙さんが“この結婚なんだか怪しい”と疑いだし…前述の婚約者の疑惑が次から次へと浮上。そこへ追い打ちをかけるように、婚約者は謎の美女(義妹とは別人、後にアメフト時代のマネージャーと判明)と密会しているところが目撃されてしまう!これは結婚式、披露宴で何かが起きる。謙さんは同僚に相談…非番の蟹江敬三や佐藤B作が家族や恋人(B作は1作目から浮気してて、前作で嫁さんと離婚…そしてもう新しい年下の女と付き合ってる)を同伴して、さりげなく警戒することになったが、事件は起きてしまう。
っていうか、学生時代のアメフト仲間の仕切りで…野球場を借り切り、そこで花婿とその仲間たちがアメフトの試合をプレイしながら、披露宴を行うんだけど、正直、センスがいいんだか、悪いんだかよくわからない(笑)まぁ、婚約者・花婿の周りで、“過去の友人の不審死”について色々と思惑が錯綜してまして、“誰か”が何かを企てている。当然、謙さんたち刑事たちは…それが婚約者・花婿だと疑ってるわけで。そうだ、わすれてたけど、披露宴会場の球場に行く前、教会で行われた結婚式の控室で、花嫁・義妹も何者かに襲われてたんだ…無事だったけど。
事件らしい事件がちゃんと起きるまで1時間近くかかってるのがな…それまでは事件ではなく、あくまで謙さんの家族のプライベートの話だからな(笑)普通に考えて、ただの“職権濫用”。ついでにいうと、婚約者・花婿は犯人じゃなくて、ただのいい人…要は真犯人の犯行だったり、その後の行動を食い止めようとしてたんだけど、人生の中で何度も“警察に疑いをもたれてたから”、謙さんも信用できなかった、余計に反発してしまったということらしい。じゃ、いったどんな事件が起きて、誰が犯人かっていうのは…さすがにここで語るのは野暮ってもんですよね…。
結局、事件の発生を食い止められず、事件が起きても謙さんたち刑事はろくに仕事もしないで、推移を見守るだけだった印象。そして、すっかり忘れてた事件もあって、最後にもう一波瀾。鎌田敏夫が描く人間ドラマとしては、しっかりとシリーズの伏線回収なども行われアッパレな部分もあるんだけど、サスペンスとしてこれでいいのか?というくらいグダついていた印象も。洋物原作を無理やり翻訳している影響で、今までもギャグのようなツッコミ展開はあったけど、それでもサスペンスとしての盛り上げどころはちゃんとしてたんだよ。最終回、個人的にはイマイチ。
監督:吉川一義
出演:渡辺謙 平田満 川野太郎 勝部演之 松井範雄 蟹江敬三 長谷川真弓 井上智之 麻生侑里
【原作小説はこちらです】