珈琲時光(2003年) | 勝手に映画紹介!?

珈琲時光(2003年)


2005年3月29日発売、レンタル開始の新作DVD「珈琲時光」を鑑賞した。小津安二郎の生誕100年ということで、アジアの巨匠・侯孝賢ホウ・シャオシェン)が小津作品にオマージュを捧げて作った映画だということだが、小津作品を語れるほど見ているわけでもなく、侯孝賢だって代表的なタイトルをいくつか挙げられるくらいの知識しか持ち合わせていないので…個人的には浅野忠信出演の新作邦画程度でしか、この映画を語れないと思う。ミュージシャンの一青窈が本格的に女優デビューしたというのも目玉の一つだが、あまり興味ないし。制作は日本、出演者も日本人ばかりだが…主要スタッフは侯孝賢同様、あちらのスタッフで占められていた。

東京で一人暮らしするフリーライターの陽子は、台湾人のボーイフレンドの子供を妊娠する。結婚はせずに、子供だけ生んでいこうと決めるが、そのマイペースな性格に、実家の両親も心配な様子…。親友で、古書店の店主である肇は…そんな陽子に片思い中?

どうなんでしょう、この映画…エンディングテーマである主題歌こそ一青窈本人が唄っていますが、ありがちな劇中ミュージックビデオをやらかしていないのは、誉められますかね。ただ、だらだらとフェイクドキュメンタリーのような映像を見せられ、電車に乗ったり、降りたり…喫茶店に出かけてはコーヒー飲んだり、一青窈の“ぶらり途中下車の旅”と化した映画本編は…見ている観客が、眠気を覚ますために、濃いブラックコーヒーを飲みたくなるような映画であるのは確かです。

いや、嫌いじゃないですよ…いい意味で退屈な、何も起こらない世界。ほとんどストーリーなど無視して、今の東京、そして失われていくだろう東京の風景を写した、写真として楽しむには…。控えめなBGMに、電車のゴトゴトという音、駅や車内アナウンス、都会の喧騒などを、リアルに聴かせるドルビーデジタル5.1ch音声もけっこう心地よかったです。ただ…今現在、東京に住んでる人が、普通に映画を見たい時に、延々と2時間近く…こんな現実的なものを見せられて面白いかどうかは別かもしれない。騒がしい新宿駅を単調に捉えた映像など…サラリーマンやOLが見たら、嫌な日常を思い出してしまうほど、リアルだろう。

浅野忠信の相変わらず自然な演技は、この作品にとってもマッチしていたと思うが…一青窈のカミカミの台詞をそのまま使うのは、演出なのか、日本人じゃないから気づかなかっただけなのか…自分には分かりません。一青窈の場合は自然な演技というより…演技してないじゃんって方が近かったかな。

平行して走る2台のJR線…ドア越しに走るもう一台の電車に浅野忠信がさりげなく乗ってるなんてシーンとか(撮影は大変だろうなぁなどと思ったり)、都電荒川線のホノボノとしたシルエットなんかは…けっこう好きだけどね。意外と鉄道マニアには楽しめる映画かもしれない。5.1chサラウンドのチェック用ディスクホームシアター・リファレンスに収録されている秩父鉄道C58みたいに…リアルな鉄道音を楽しみましょう(笑)

監督: 侯孝賢
出演:一青窈 浅野忠信 萩原聖人 小林稔二 余貴美子


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珈琲時光











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