母親の存在とは。


『母さんがどんなに僕を嫌いでも』
一人暮らしをしているサラリーマンのタイジ(太賀)は、母親(吉田羊)のことがずっと心に引っ掛かっていた。
タイジの母は、外面は良いが情緒不安定で、彼は虐待されながら育ったのだ。
17才で家を飛び出し、それからずっと母を憎みながら暮らしていたタイジ。
しかし、出会った仲間たちと時を過ごすうち、少しずつ考えに変化が。
そしてタイジは、すっかり疎遠になっていた母親に歩み寄ることを決意し‥‥。

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監督は「人生、いろどり」などの御法川修さん。
漫画家の歌川たいじさんが、自身の生い立ちを綴ったコミックエッセイが原作です。

いや~辛いです。
観ていて本当に辛かった。

幼少期の男の子が、どれだけお母さんが好きか。
うちの2歳の息子も、早々とママ派ですから。

なのに、その想いを無下にされるような態度を
毎日毎日、何年にも渡ってとられたら‥‥
うちの家に置き換えて観てしまいました。
観てしまったがために、めちゃくちゃ辛かったです。

人間ですからね。
我が子とはいえ、腹が立ったり、感情的に怒ってしまうことはあるでしょう。
しかしこの母親は、そういった感情の起伏以前の、息子に対する「嫌悪感」を隠さず出しまくっていて。

吉田羊さんのことが、本当に嫌いになりそうでしたもん。笑
(それだけお芝居が迫真だったということですよ)

その分だけ、木野花さん演じる「ばあちゃん」に
どれだけ救われ、泣かされたか。

そんな母親と仲直りするのか
スルーのまま生きるのか
葛藤するタイジ役の太賀さんが、これまた熱演で。

しかしこの映画のクライマックス
本当にこんな感じだったんですかね?
なんとなくですけど
原作者の歌川たいじさんの、理想であり妄想だったのかな、と思ったり‥‥。
現実だったらええなあ。

子供は親を選べない。
親も子供を選べない。

しかし、親側にはこの世に生んだ責任があるのです。
その責任を、微塵も感じていない親。
観ててぐったりしてしまいました‥‥。


☆個人的見どころ
 ・子役タイジの哀愁
 ・クッキーの缶
 ・チャラ男が似合う森崎ウィンさん