ジャイアント!


『いつも心はジャイアント』
頭の骨が変形する難病のため、片目はふさがり、会話も困難なリカルド(クリスティアン・アンドレン)。
父が誰なのかは分からず、母は精神を病んで別の施設に入っていた。
差別的な扱いをされることが少なくないリカルドは、いつしか自分が巨人になって歩いている空想に浸るようになる。
そんなある日、ペタンクという球技に出会ったリカルドは、徐々に仲間が増え、笑顔を見せるように。
しかし、ある出来事がチーム内で物議をかもし出し、再びリカルドはふさぎこんでしまう‥‥。

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監督はヨハネス・ニホーム。
スウェーデン・デンマーク合作の映画です。

「現代のエレファントマン」
なんて言ってしまうのは安易ですけど。
やはりそれを思い出さずにいられない映画でした。

頭骨が変形してしまっているリカルドは、どうしてもまわりから奇異な目で見られてしまい。
心ないひそひそ話が聞こえてしまうこともしばしば。
特別なことは何も望んでいない、ただ穏やかに生きたいだけなのに。

そんな時に出会ったのが「ペタンク」。
ペタンクは、彼の心を闇の中から引っ張り出してくれたのですが
唯一の楽しみと言っていいそのペタンクさえ、奪われそうになり‥‥。

こういう映画は、単純に「リカルドの人生」だけを追って観れないですよね。
もしリカルドが自分のまわりにいたら、どう接するだろうか。
もちろん差別的な行動は絶対に取らないですけど
でも、そうやって考えてしまうことが、逆差別になっているのでは、とか。

そんなことは意に介さず、マイペースで生きるリカルド。
嫌なことがあったら、自分が天を突くような巨人になり、大地を歩く空想を。
その映像は、美しく、幻想的でありながら
現実からの逃避かと思えば、哀しくもあり。
なんだか、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」と重なりました。

ただ、内容よりも、民度の低さ(嫌いな言葉ですけど)に、イライラするシーンが多くて。
まだ善悪の判別がつかない小学生のようないじめを、大人がやったりとか。
演出だとしても、信じられなかったです。

ラストもまた、哀しく美しく。
これは「救い」と言えるのだろうか?
僕にはちょっと辛すぎる映画でした。


☆個人的見どころ
 ・巨人目線
 ・ペタンク仲間
 ・ラスト