がっきー!


『くちびるに歌を』
産休する親友ハルコの代わりに、地元である長崎五島列島の中学で音楽教師をやることになった柏木(新垣結衣)。
容姿端麗な柏木に、生徒たちは騒然となるが、愛想は悪く、乗ってる車もボロボロのトラック。
不審に思った生徒たちが調べると、かつて柏木は、才能を認められ活躍するピアニストだったらしい。
ハルコに頼まれ合唱部も受け持つが、練習には来ても一切指導はせず、ピアノも弾かず。
全国大会を目指す部員たちは、柏木に指導をお願いするが、実は彼女には、ピアノから離れてしまった理由があった‥‥。

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アンジェラ・アキの名曲「手紙 ~拝見 十五の」から着想を得た中田永一さんの小説が原作だそうです。
監督は「僕等がいた」「ホットロード」などの三木孝浩さん。

単純にもう、歌って美しいなと。
商業としての音楽を否定する気は毛頭ないですけど
利益関係なしに、ただ歌いたいから、伝えたいからで歌う歌って、美しいなと。
そう思える映画でした。

柏木もそうですし
部員たちの一人一人も大小あれど問題や事情を抱えていて。
誰しもあるように、自分の生まれた意味・存在意義に悩む夜があるのですが

でも、そんなみんなが集まり歌うのです。
大きな声で、明るい笑顔で。

そして「手紙」の歌詞のように。
生徒たちは、未来の自分を思い描き、今の悩みを吹き飛ばし
柏木は、生徒たちにかつての自分を見て、固く閉ざしていた心を開きだすのです。
青春だなあ。

ただ、物語の構成上仕方がないとはいえ
序盤の柏木が、あまりにも無愛想で。
自分の不機嫌や背負っている過去で、まわりに緊張感を抱かせる人間が嫌いだというのもありますけど。
人と関わるのが嫌なのなら、なぜ臨時とはいえ、親友の頼みとはいえ、中学の教師など引き受けたのかなと。
そこはちょっと、矛盾を感じてしまいました。

生徒の中での中心人物、男子の下田翔大さんと、女子の恒松祐里さんがまた好演で。
特に恒松さんは明るい美少女で、今後に期待しちゃいます。

「娚の一生」でも書きましたが
美しい景色の映画を観ると、得した気分になるのです。
五島列島もきれいやったなあ。


☆個人的見どころ
 ・みんなで歌おう
 ・それぞれが背負うもの
 ・ピアニストながっきー