これぞ“ニッポンの”クリスマス、という感じの印象的な温かい絵本を。

『まよなかのゆきだるま』
 森洋子:作  福音館書店(2014年)

雪深い雪国の女の子。雪だるまに自分の赤い服と同じ色のバケツを帽子がわりにかぶせてやる。

真夜中、自分を呼ぶ声に目を覚ますと窓の外にはあの雪だるまが。村はずれの木に引っかかって身動きのとれなくなったサンタさんを助けに、女の子は村中の雪だるまたちとサンタのもとへ・・・

作者の森洋子さんは昭和34年生まれということだが、この絵本全体から感じるのは昭和40年代ごろのひと昔前の日本の雪国の情景。
畳敷きの少女の部屋や木製の電柱などどれもなつかしい。

本来キリスト教圏の行事だけにクリスマス絵本というとどうしても欧米っぽくなりがちだが、これはまさしく“日本の”クリスマス。
木炭画にパートカラーでのせられた赤が美しく、真夜中の雪国の冷気と赤いセーターにマフラー姿の女の子の温かさがうまく表現されています。


イベントバナー