判例タイムズ1522号で紹介された事例です(大阪地裁令和6年2月28日判決)。

 

 

本件は地方議会が決議した「旧統一教会等の反社会的団体の活動とは一線を画する決議」につき、旧統一教会の関連団体が原告(平和の礎としての健全な人格及び理想家庭を形成するとともに、宗教・人種・国境の壁を超え、自然と調和した「One Family under God」の実現を牽引する日本を建設することを目的とし、そのために平和国連のモデル形成、日米韓を基軸としたアジア太平洋文明圏の形成への主導的貢献、「平和家庭理想」を基盤とした為に生きる「奉仕文化」の国家と社会への定着を目指すことを目的とする一般社団法人とのことです)として、その取消や国賠請求がされたという事案です。

 

 

決議の取消しについては、決議の内容は「旧統一教会等の反社会的団体の活動に取り込まれることがないよう一線を画することを強く決意する。」などという意思を事実上表明するものにすぎないことや、議会として「市議会議員は、旧統一教会及びその関連団体とは一切かかわりを持たない。」などという意思を事実上表明するものにすぎず、本件各決議は、議会が法令上の権限に基づいてした議決(地方自治法96条等参照)ではなく、事実上の意思決定としての決議にすぎないといえるから、本件各決議は、いずれも、政治的な意味を有する事実上の効果を伴うものであるといえるとしても、法的効果を伴うものではないとして、取消しの対象自体にならないものと判断されています。

 

 

また、国賠請求に関して、原告が主張した権利侵害の一つとして、、普通地方公共団体の議会に請願するためには、議員の紹介が必要であるところ(地方自治法124条)、本件各決議により、原告が議会に対する請願に必要な紹介議員を得ることが著しく困難となっており、本件各決議は、原告の請願権を侵害するものであるとの主張がされました。
これに対して、本件各決議は、議会がその意思を事実上表明するものにすぎず、法的効果を伴うものではなく、また、本件各決議の内容は、原告の請願権を直接制限するようなものではないことから否定されています。

さらに仮に、原告が主張するとおり、本件各決議により、原告が議会に対する請願に必要な紹介議員を得ることが著しく困難となっているとしても、当該請願に議員の紹介を必要とするのは、地方自治法124条の規定によるものであり、本件各決議とは直接の関係がない上、当該請願の内容に賛意を表する紹介議員となるかどうかは、最終的には議員が自らの意思で判断する事柄であり、本件各決議の直接の効果ではない、原告において、議員の紹介を得ることができず、議会に請願書を提出することができないとしても、陳情書を提出することが妨げられるわけではなく、請願以外の方法で議会に自らの希望を開陳することが妨げられるわけではないとも指摘されとています。

 

 

また、決議が原告の思想良心の自由、法の下の平等、名誉を侵害するといった各主張についても一切認められることなく請求棄却されています。

 

 

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