逮捕された容疑者(31)は2015年1月以降、狩猟と標的射撃を目的に散弾銃など4丁の所持について長野県公安委員会から許可を得ていた。更新手続きも経ており、直近の今年2月の県警による検査時も、健康や精神状態に問題はなかったという。
県警や捜査関係者によると、容疑者が最初に許可を得たのは15年1月の散弾銃1丁。その後、17年10月に別の散弾銃1丁と空気銃1丁、19年2月に猟銃1丁の許可を取得した。
(5月26日毎日新聞から一部引用)
一般市民に加えて,警察官が2名も殉職したというのはかなりショッキングな事件です。映像で見たところでは,のどかな地方の田園風景という感じですし,このような所でこうした事件が起きたというのも輪をかけて衝撃を受けました。
報道を見る限りでは,被害妄想に取りつかれていたような印象ですが,責任能力について慎重に調査がされるものと思われます。
銃刀法では精神免田の問題を抱えた人が銃を所持することを防止するため,精神障害(認知症を含む)は銃の所持の不許可事由とされています(法5条1項3号)。
銃砲刀剣類所持等取締法
(許可の基準)
第5条1項 都道府県公安委員会は、第四条の規定による許可を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当する場合又は許可申請書若しくはその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けている場合においては、許可をしてはならない。
三 精神障害若しくは発作による意識障害をもたらしその他銃砲等若しくは刀剣類の適正な取扱いに支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものにかかつている者又は介護保険法第五条の二第一項に規定する認知症である者
具体的には,許可申請にあたり,精神保健指定医による診断書の添付を要するものとされています(同法施行規則10条1項1号)。
銃砲刀剣類所持等取締法施行規則
第10条 法第四条の二第二項(法第五条の四第三項、第七条の三第三項、第九条の五第四項、第九条の十第三項及び第九条の十六第二項において準用する場合を含む。)の内閣府令で定める要件は、次のいずれかに該当する医師が作成した診断書であつて、法第五条第一項第三号又は第四号に該当しないと認められるかどうかに関する当該医師の意見が記載されているものであることとする。
一 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号)第十八条第一項に規定する精神保健指定医その他法第五条第一項第三号又は第四号に該当するか否かの判断に必要な知識経験を有すると都道府県公安委員会が認める医師
医師の診断書,とりわけ精神状況に関する事項についてどれだけの信用が措けるものかという点もあり,制度として全幅の信頼を寄せることができるのかという疑問があります。
また,今回,4丁もの銃を所持していたとのことですが,それだけの銃の所持を許可すべき必要性があったのか,きちんと審査がされていたのかという点も含めてよく調査が必要になるのではないでしょうか。
