家庭の法と裁判40号で紹介された裁判例です(東京地裁令和3年6月7日判決)。

 

 

本件は,職場が同じであった男女が,同棲を始めて婚約したものの,その後婚約が解消されたというもので,女性が男性に対して,婚約の解消に至った同棲・婚約後の次のような事情をあげて婚約解消の原因が男性にあるとして不法行為が成立するとして損害賠償請求をしましたが,裁判所は一つ一つの行為について検討を加えて,不法行為は成立しないとして請求を退けています。

 

 

・男性が複数の異性とSNSで連絡を取り,また,かつて交際していた女性の画像や動画を保存しており,女性が懇願しても消去してくれなかった・・・主張されていること自体は不法行為を構成しない。なお,男性が消去に応じる法律上の義務までは認められない。消去の依頼をしたことは認められるものの,男性は応じて一部消去している。

・男性がSNS上であたかも独身であるかのように振る舞い,女性が辞めてほしいと申し入れたがなかなか聞き入れようとしなかった・・・女性の意に沿わないものであったとしても不法行為が成立するとはいえない。

・男性の子を堕胎したり,女性の母親が亡くなったことについての十分な配慮がなかった。男性が自分の両親に対する献身ぶりが過度なものであった・・・主張が抽象的なものに留まっていることに加えて,男性は自分の両親を交えて食事をした後に両親とは別行動をとるなど相応の配慮をしていたものといえる。

・女性を自宅から追い出したこと・・・男性の両親との接し方について口論となったことは認められるが,女性が追い出されるような形で別居したものであったとは評価できない。

 

 

法律上認められるかどうかはともかく,女性の言い分というのは,世の多くの女性にとっては納得できるものであるような気がしており,掲げられているような女性の主張に細やかに配慮することが男女円満の秘訣かもしれないですね。。

 

 

婚姻予約(婚約)の不当破棄には当たらないとされた事例 | 弁護士江木大輔のブログ (ameblo.jp)

 

婚約破棄と結納 | 弁護士江木大輔のブログ (ameblo.jp)

 

婚約の不当破棄による慰謝料を認めた裁判例 | 弁護士江木大輔のブログ (ameblo.jp)