判例タイムズ1485号で紹介された事例です(大阪地裁令和年3月24日判決)。

 

 

夫婦共有財産は,離婚に際しての話し合いでその帰属が協議され,競技が整わない場合には,家裁裁判所が定めることになります(民法768条)。

要するに最終的には家庭裁判所が決着をつけるマターということになっています。

 

民法

第768条 協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。

 前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から二年を経過したときは、この限りでない。

 前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。

 

 

本件は内縁関係の解消の際の事案ですが(内縁の場合には財産分与についての規定は準用されることとなっています),原告が,株式や車両などの財産について分与対象財産であることの確認を求めたのが本件です。

 

 

しかし,裁判所は,夫婦共有財産についての具体的な請求権はあくまでも協議,家裁の審判等によってはじめてその内容が定まるもので,このような確認の訴えは不適法と判断しています。

原告がこのような訴えを提起した具体的な事情については分かりませんが,特定の財産が対象に含まれるということを地裁の確認判決によって,家裁に判断をしてもらうといった意図が考えられます。

 

 

似たような状況として,家裁の遺産分割審判に際して,特定の財産が遺産に含まれるかどうかについて地裁に確認請求を求めることは適法とされており(判例),遺産の範囲に争いがある場合には遺産に属するかどうかの確認請求の決着がつくまでは家裁での手続きは進まないことになっているのですが,遺産の場合の判例の射程は夫婦共有財産の場合とは異なるとされています。