被害者2人が調停申し立て 第一生命元社員詐取―東京地裁:時事ドットコム (jiji.com)
第一生命保険の元女性社員が顧客24人から19億円超を詐取したとされる問題で、被害弁護団は4日、東京都内で記者会見を開き、被害者2人が同社に賠償を求めて東京地裁に調停を申し立てたと明らかにした。来月にかけ、さらに2人が調停を申し立てる見込みという。
申立書は、第一生命で04年以降、同様の詐欺行為が相次いでいたとし、同社が今回の問題を予見するのは可能だったと主張。徹底した調査や研修などを実施していれば回避できたとし、「不法行為責任が成立することは明白だ」と強調している。
(12月4日時事ドットコムから一部引用)
記事では東京地裁に調停申し立てをしたとあります。
民事調停の管轄裁判所は,原則として相手方の所在地を管轄する簡易裁判所となりますが,当事者双方が合意すれば合意した地方裁判所でも調停をすることができます(民事調停法3条1項)。
なお,法律の規定にある「特別の定め」とは,公害調停や農事調停などの場合で,本件はそのような場合にはあたらないと思われ,本件の規模などからみて,簡裁ではなく,地裁での調停を当事者双方が合意したということになりそうです。
民事調停法
(管轄)
第3条1項 調停事件は、特別の定めがある場合を除いて、相手方の住所、居所、営業所若しくは事務所の所在地を管轄する簡易裁判所又は当事者が合意で定める地方裁判所若しくは簡易裁判所の管轄とする。
今回の件については,報道などで見る限りですが,ひどい事案だと思いますし,被害者の救済が求められるものであると思いますが,法的に必ずしも第一生命が直接の不法行為責任,使用者としての責任を負うかどうかは事情によってはなかなか微妙なところもあり,そのようなことも踏まえてひざ詰めでの話し合いを求めて調停という手段を選択したということが考えられます。
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