https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200708/k10012504541000.html?utm_int=detail_contents_news-related_001

 

 

去年の参議院選挙をめぐる選挙違反事件で、東京地検特捜部は河井克行前法務大臣と妻の案里参議院議員が、地元議員らに票の取りまとめを依頼し、現金を配ったとして公職選挙法違反の買収の罪で起訴しました。

 

一方、検察当局は現金を受け取った地元議員らについては、河井前大臣から一方的に現金を渡されたケースが多いことなどを総合的に考慮し、刑事処分を見送るものとみられます。

(7月8日NHKニュースウェブから一部引用)

 

贈賄側のみが起訴され収賄側はのきなみ不起訴というのでは処分として不公平であるという感はぬぐえず,このようなことをするのであれば,正々堂々と司法取引(日本においては正式には「証拠収集等への協力及び訴追に関する合意」の制度といいますが,分かりやすいので司法取引と呼びます)という形で法に定められた手続きを踏んで行うべきということが言えますが,公選法違反の罪については司法取引手続の対象となっていないため(刑訴法350条の2第2項の「特定犯罪」に含まれていない),結局,事実上の司法取引をしたような形に見えることになってしまっています。

 

 

有利な処分を仄めかして供述を得ることについては従来からその供述には任意性,信用性が欠けるのではないかということが言われていましたが,司法取引という制度が定められたことで,規定されていない犯罪について司法取引とみられるような行為を行うようなことについては従来以上になお一層非難されることになるわけであり,弁護側としては,収賄側の議員らの供述経緯を追及することにより,その起訴が実質的な司法取引を行ったものであって不公平であるとして起訴の手続が違法であることを根拠に公訴の棄却(刑訴法338条4号)を主張するということも考えられるかと思います。

 

 

【司法取引法案 弁護士の関与義務化で合意】

https://ameblo.jp/egidaisuke/entry-12058361338.html