https://digital.asahi.com/articles/ASM675RPBM67UTIL034.html

 

 

 

別居中の妻が凍結受精卵を無断で使って子どもを出産したとして、奈良県外国籍の40代男性が「父子関係がないこと」の確認を求めた訴訟で、男性の敗訴が確定した。最高裁第二小法廷(三浦守裁判長)が5日付の決定で、男性が敗訴した一、二審判決を支持し、男性の上告を棄却した。

(6月7日朝日新聞デジタルから一部引用)

 

法律上婚姻関係にある父母の間に生まれた子については,嫡出子とされ,原則としてその父子関係を否定するためには,嫡出否認という手続きを取らなければなりません。

嫡出否認の手続は父親のみが行うことができ,方法としては訴訟提起に依らなければならず,また,提訴期間も子の出生を知ってから1年以内になされなければならないなどの制限があります。

 

 

【嫡出否認制度】

https://ameblo.jp/egidaisuke/entry-12376357381.html

 

 

 

そこで,判例上,推定されない嫡出子という概念を設け,たとえ父母が婚姻関係にあったとしても,父親が外国に単身赴任していたり,服役しているなどの事情がある場合には(外観上妻が夫の子を懐胎することが不可能であるという要件であるため外観説と呼ばれています),嫡出性が推定されないとして,この場合は,親子関係不存在確認という手続きにより父子関係を否定することができるさとれています(提訴期限はなく,父親でなくても提起することができるなどの嫡出否認手続との違いがあります)。

 

 

多く問題となるのは,DNA鑑定により父子の血縁関係がないことが明らかである場合に嫡出推定がされないのかということですが,本件では,夫の受精卵を使っての懐胎ということなので父子の血縁関係があることは明らかであり,また,下記のように,外観上も夫婦としての実態はあったということなので,どの説によっても嫡出子として父子関係は否定されないということになります。

 

 

一審・奈良家裁と二審・大阪高裁の判決は、2人は別居中も定期的に会っており、夫婦の実態はあったと指摘。「妻が婚姻中に妊娠した子は夫の子と推定する」と定めた民法の規定を基に、父子関係を認めた。