https://mainichi.jp/articles/20190410/k00/00m/040/158000c
刑事収容施設法は、刑務所の所長は支障があると判断すれば、受刑者と外部との手紙のやりとりを禁止することができると規定。親族は例外とされている。1審東京地裁判決は手紙のやりとり自体が目的だったとし、養子縁組を無効と結論付けていた。
高裁の垣内正裁判長は「2人は同性愛関係にあった」と指摘した。
(4月)10日毎日新聞から一部引用
養子縁組が成立するためには当事者間で単に養子縁組の届出を行うだけではなく養親子関係を設定しようという実質的な意思(実質的縁組意思)が必要とされています。
実質的縁組意思を欠くとして無効とされた事例としては,古くは,兵役免除を意図した兵隊養子,芸妓として稼働させることを目的とした芸妓養子,結婚に当たっての家格の向上を目的とした縁組といった事例があります。
養子縁組は当事者の様々な思惑をもってなされることも多く,実質的縁組意思の有無が争われることもあります。
本件では受刑者同士の縁組について,一審判決は手紙のやり取りを目的としたものであるということで実質的縁組意思を欠くとしたものですが,控訴審において覆されたという事例です。
手紙のやり取りというのは養子縁組をするにあたっての一つの動機であるということはいえますが,当事者間に養親子関係になろうという意思があるのであれば特に不自然な動機ではないということができます。
当事者間には同性愛関係があったと認定されているようですが,このような関係にあったとしてもそのことのみをもって必ずしも養親子関係が否定されるものではないと考えられています。
「甲男が乙女を養子とする養子縁組の届出をした場合において、乙は、甲の姪で、永年甲方に同居してその家事や家業を手伝い、家計をもとりしきつていた者であり、甲は、すでに高令に達し、病を得て仕事もやめたのち、乙に世話になつたことへの謝意をもこめて、乙を養子とすることにより、自己の財産を相続させあわせて死後の供養を託する意思をもつて、右届出をしたものであつて、甲乙間には過去に情交関係があつたにせよ、それは偶発的に生じたものにすぎず、事実上の夫婦然たる生活関係を形成したものではなかつたなど判示の事実関係があるときは、甲乙間に養子縁組の意思が存在し、縁組は有効に成立したものというべきである。」(最高裁昭和46年10月22判決)
【専ら節税対策のために養子縁組をする場合と縁組意思の有効性】
https://ameblo.jp/egidaisuke/entry-12282444755.html
【実質的縁組意思があったとして,一審判決を取り消して養子縁組を有効とした事例】
https://ameblo.jp/egidaisuke/entry-12281539319.html