プレゼンなどでネット上から拾ってきた画像を利用したいということがあり,心配になった社員からの相談というのが時折あります。
著作権法では,著作物の複製について,個人的または家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(私的利用)が認められています。
本を自分でコピーしたり,自分でテレビ番組を録画して楽しむ分には,構わないわけです。
(私的使用のための複製)著作権法30条1項 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。一 公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(複製の機能を有し、これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器をいう。)を用いて複製する場合二 技術的保護手段の回避(第二条第一項第二十号に規定する信号の除去若しくは改変(記録又は送信の方式の変換に伴う技術的な制約による除去又は改変を除く。)を行うこと又は同号に規定する特定の変換を必要とするよう変換された著作物、実演、レコード若しくは放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像の復元(著作権等を有する者の意思に基づいて行われるものを除く。)を行うことにより、当該技術的保護手段によつて防止される行為を可能とし、又は当該技術的保護手段によつて抑止される行為の結果に障害を生じないようにすることをいう。第百二十条の二第一号及び第二号において同じ。)により可能となり、又はその結果に障害が生じないようになつた複製を、その事実を知りながら行う場合三 著作権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、その事実を知りながら行う場合
問題なのは,社内の中でのプレゼンで社外での利用は想定されていないということが,私的利用としての複製として認められるかということですが,認められないと考えられています。裁判例としては,会社で業務上利用するために著作物を複製することはその目的が個人的な使用とはいえず,かつ,家庭内に準ずる限られた使用とはいえないとしたものがあります(舞台装置設計図書事件 東京地裁昭和52年7月22日判決)。
なお,説明するための資料として(例えば他社製品との比較),他社製品の画像を「引用」することは認められていますが,その場合には引用元の明記など「引用」のためのルールを守ることが必要です。
私も,講演会などの資料の為に適当なイラストをレジュメに載せたいと思うことがありますが,この場合もフリーソフトを利用し,かつ,フリーソフトといってもその条件などを確認しておく必要があるということになります。