SNS上で名誉棄損やプライバシー侵害といった表現行為がされた場合に,当該表現行為がなされた記事に対していいねやリツイートをした場合に,いいねやリツイートをした者についても名誉棄損等の法的責任が認められるかという問題があります。

 

 

結論からいうと,ケースバイケースであり,いいねやリツイートをしたからといってそれだけで法的責任が発生するとかしないとか判断されるわけではなく,その具体的な状況により判断されるものと考えられています。

 

 

裁判例では,いいねについて,賛同の意を示すものに留まり,(名誉棄損をしている元の)発言と同視することができないとして,いいねをした者の不法行為責任を否定したものがありますが(東京地裁平成26年3月20日判決),この判決においても,いいねをしただけであるからといってあらゆる場合に法的な責任を否定しているというわけではなく,「名誉棄損等の発言と同視できる」状況である場合には法的責任が発生する可能性があることを示唆しています。

どのような場合がそれにあたるかについては事例が蓄積されているわけではありませんが,例えば,元の発言者よりも大きな社会的な影響力を持っている人がいいねしたような場合には,単なる賛同の意を越えて名誉棄損等の発言を自ら行ったものと同視できる場合があるといえるのではないかといわれています。また,社会的な影響力がないような者の場合であっても,例えば,SNS上での集団いじめのような,酷い発言に対して次々といいねが押されているような状況の場合にも単なる賛同の意を越えたものとして評価することができるようにも思います。

 

 

リツイートの事案としては,東京地裁平成26年12月24日判決というのがあり,この事案においては,リツイートはツイートをそのまま自身のツイッターに掲載するという点で自身の発言と同様に扱われるものであるとして,名誉棄損等の表現行為が含まれるツイートをリツイートした者の責任を肯定しています。

判決の判示からするとリツイートの場合には元のツイートが名誉棄損等であれば常にリツイートについては責任が発生するかのようにも読めるのですが,いいねの場合と区別する合理的な理由はなく,具体的な状況に応じて,リツイートが自身の発言と同視できるものとして評価できるかどうかが問われるべきではないかということが言われています。

 

 

あまり深く考えることなくいいねやリツイートをすることも多いのが実情だと思いますが,明らかに他人の名誉を棄損したりプライバシーを侵害するような内容の記事をいいねしたりリツイートしたりすることは問題があるということを意識する必要があります。