判例タイムズ1450号で紹介された事例です(大阪高裁平成29年7月19日決定)。

 

 

本件は,定時制高校に在学していた少年が,約2週間のうちに,アルバイト先の従業員ロッカーやネットカフェで,立ち続けに8件の窃盗を重ねたという事案です(一連の被害としては現金が約4万3200円,物品の時価で1万3700円)。少年は,中学生の頃から万引きなどをしていたようですが,家裁での処分歴はなく,自転車の占有離脱物横領の前歴が2件あるだけでした(いずれも審判不開始)。

 

 

家裁では,上記犯行の状況のほか,広汎性発達障害の疑いなどや父母や警察からの指摘を受けても自己中心的な考えで行動する傾向が改善していないこと,在宅監護で改善することは困難であることなどを指摘して第一種少年院送致(昔の初等・中等少年院)とし,短期処遇の勧告意見も付けないという厳しい処分をしました。

 

 

 

しかし,高裁では,本件の被害のうち1件を除いて被害弁償がなされていることや今回のような本格的な窃盗行為がみられるようになったのは今回の非行行為の頃からであり非行性が固まっているとまではいえないこと,在宅処遇に不安があるとしても父親が出廷して監護の約束をしていることからすれば在宅処遇の見込みがないとまではいえないこと,少年の前歴としては前記の2件のみであることなどから,いきなり少年院送致というのは重すぎ,試験観察などをしてから処分を決めるべきであるとして,審理を差し戻したものです。

 

 

 

判例タイムズの解説によると試験観察の不実施を理由して少年院送致の処分を取り消した例というのは少なくないということなので,少なくとも,事案がそれほど重いものではなく,前歴もないようなケースでいきなり少年院送致の決定がされてしまったようなケースでは抗告による覆る見込みも十分にあり得るようです。

 

 

 

 

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