http://www.yomiuri.co.jp/national/20180326-OYT1T50048.html

 

 

判決によると、原告の男性は自宅にテレビがなく、ワンセグ機能付き携帯電話を所有。放送法はNHK放送の受信設備を設置した人に受信契約の締結を義務付けている。1審判決は放送法の「設置」に携帯電話は含まれず、所有者に契約義務がないと判断したが、この日の判決は「『設置』には『携帯』の意味も含まれ、原告には受信契約の締結義務がある」と結論付けた。

(3月26日読売新聞オンラインから引用)

 

 

問題とされた放送法の条項は次のとおりであり,「設置」の中にワンセグ携帯を持つことも含まれるのかということが問題とされています。

 

 

(受信契約及び受信料)
放送法第64条1項本文 協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。

 

 

放送法が成立した昭和の当時にワンセグ携帯などというものが想定されていたとは到底考えられないので,立法当時の立法者の意思としてワンセグ携帯のようなものが含まれていなかったことは明らかです。

ただ,法律解釈の世界では,ひとたび立法された場合は,立法者の意思は参考とはされるものの拘束はされることはないと考えられています。

 

 

「設置」という字義を狭く考えると,一定の場所から容易に動かせないというような意味合いがあるとして自由に移動させることができるワンセグ携帯については含まれないと考えることができ,このような解釈を文言解釈ということができると思います。

 

 

ただ,公共放送を維持・普及させるために放送を受信できる設備を保有したものから受信料を徴収するという法の趣旨から考えると,ワンセグ携帯であっても,テレビと異なることはないと考え,「設置」という文言の意味としてもワンセグ携帯を含めることは可能であると考えることも解釈の範囲内として今回の高裁の判決となっているといえます。このように法律の趣旨から文言を広く解したり狭く解したりするのを拡張解釈,縮小解釈と言ったりします。

 

 

それにしても,現在において,自宅等までテレビ等の設置を確認しに来たり,取り立てに来たりというのもコスト的にも割に合わないはずで,余計な争いのもとにもなるわけで,かえって受信料の無駄使いともいえるかと思います。

既に言われていることではありますが,スクランブルを導入するなどの方法が検討されてもよいのではないかと思ってしまいます。