• 25 Dec
    • 被後見人死亡後の元後見人による死後事務に関する民法改正

      成年後見人による被後見人の郵便物の管理に関する改正と併せて,これまで処理の根拠規定が明確ではなかった被後見人死亡後の死後事務に関しても規定が追加され,施行されています。 (成年被後見人の死亡後の成年後見人の権限)民法第873条の2  成年後見人は、成年被後見人が死亡した場合において、必要があるときは、成年被後見人の相続人の意思に反することが明らかなときを除き、相続人が相続財産を管理することができるに至るまで、次に掲げる行為をすることができる。ただし、第三号に掲げる行為をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。一  相続財産に属する特定の財産の保存に必要な行為二  相続財産に属する債務(弁済期が到来しているものに限る。)の弁済三  その死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為(前二号に掲げる行為を除く。) 被後見人が死亡した時点で成年後見人ではなくなるので正確に言えば「元後見人」のはずですが,規定上は「成年後見人」と規定されています。  非常に分かりにくくて関係者には不評な規定なのですが,実務上もっとも問題となりそうなのは,被後見人が死亡した後の火葬や埋葬に関する点です(3号に規定されているもの)。  病院や施設で人が亡くなると,なるべく早く葬儀社を手配してご遺体を搬送することを求められ,またその後の火葬や納骨といった行事に流れていくことになりますが,当該規定によるとそのための葬儀社との契約の締結には家庭裁判所の許可が必要とされています。許可の申請をすれば家裁としてはすぐに許可を出してくれるのでしょうが,それでも,そのための申立書を準備したりするのはバタバタしている時期には大変ですし,連休中に亡くなったりしたような場合にはそもそも裁判所がやっていないということになります。  この点注意が必要なのは,あくまでも,相続人(遺族)がいる場合には遺族が火葬や葬儀の段どりをすべきものですので,きちんとした相続人がいる場合には元の後見人がそこまでする必要はないということです。  相続人がいたとしても疎遠であるとか相続人がいないような場合には,元の後見人に火葬などの手続きを行うことが期待されることになるということになります。  もっとも,この点は改正前においても同様で,これまでも,後見の事務に準用されている委任契約の応急処分の規定(民法874条,654条 委任事務が終了したとしても相続人に事務を引き継ぐまでは急迫の事情があれば事務を行うことができる),事務管理(民法697条 とくにやる義務はないが親切で行った事務については適法とする規定)に基づいて,元後見人が火葬などの契約を行って事務を処理していたところです。  今回の民法改正によっても,委任契約の応急処分の規定や事務管理の規定についてはこれまで通り適用または準用がされるものとされているので,事前に家裁の許可を得たうえで行うかどうかは元後見人の判断ということになります。なお,委任契約の応急処分の規定や事務管理の規定に基づいて事務を処理した(ということにする)場合には,事後的に家裁の許可を得る必要はないとされています。  そもそも相続人がいないケースでは,元後見人の処理に対してクレームをつけてくる人もいないと思われるので,あまり気にすることなく委任契約の応急処分の規定や事務管理の規定に基づいて死後事務を行ってしまってもよいと思いますが,遠縁ながらも相続人がいるようなケースでは少し悩むような気もします。実際に文句を言われることはないだろうとは思いますが,時間的に余裕があるのであれば事前に家裁の許可を取って行うということもあろうかと思います。    

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プロフィール

弁護士江木大輔(北川・江木法律事務所)

性別:
男性
誕生日:
1974年生まれ
お住まいの地域:
東京都

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