From:朝香豊
英語表現”a must”
It’s a must. ってどんな意味かわかりますか。
ここで用いている must は、前に冠詞の a がついていますから、もちろん数えられる名詞ということになりますが、助動詞の must から派生したものだと考えて大丈夫です。
「必需品」とか「絶対に手に入れるべきもの」のような意味で使います。
ですから、It’s a must.は、「それは絶対に手に入れるべきだよ」という感じです。
must は形容詞としても用いることができます。といっても「マストアイテム」なんかはほとんど日本語になっていますから、こう言われても恐らく抵抗ないんじゃないでしょうか。
must は他の語とくっついて、(つまり複合語となって、)名詞や形容詞になることもあります。
例えば、must-read といえば、「必読文献」という名詞になったり、「必読の」という形容詞です。
ところで、この複合語の read の部分ですが、発音は「リード」でしょうか、それとも「レッド」でしょうか。
要するに、原形だと考えればよいのか、過去分詞形だと考えればよいのかということです。
惑わす言い方をしたのでかえって混乱したかもしれませんが、助動詞の must の使い方の延長で考えてみてください。
助動詞の後は原形がくるはずですから、「リード」が正解です。
同様にして、must-see とか must-do とか must-have とか must-win とかといった表現があります。それぞれの意味は想像がつくと思います。
では「絶対手に入れるべきもの」が a must なら、「やってはいけないこと」は何といえばよいでしょうか。
a must の類推から a mustn’t だと考えたくなるかもしれませんが、 残念ながらちょっと違います。
答えは a don’t です。
a don’t なら「やってはならない」ではなくて、「しない」ではないのかという疑問が起こるかもしれませんが、そこで思い出して欲しいのは否定の命令文です。
否定の命令文は当然「やってはならない」という意味ですが、Don’t から始まりましたよね。これが起源だとわかると、納得してもらえるのではないかと思います。
ちなみに a don’t の複数形は don’ts ですが、この don’ts の延長線上で do’s (やるべきこと)という表現も見かけます。do’s and don’ts という言い方で「やるべきこととやってはいけないこと」という決まり文句で使うことが多いです。
do’s は dos と書くこともありますが、p’s and q’s のところで説明したことと関係しますが、普段名詞としては用いない do の複数形であることをはっきりさせるためには、アポストロフィーをつけないとわかりにくいので、通常は do’s と書きます。
dos だと MS-dos を思い出してしまう人もいるんじゃないでしょうか。(古い!)
MS-dos を一応説明しておきますと、ウィンドウズの前のコンピュータを動かすためのシステムで、オタクの人でないと動かすのが大変でした。Microsoft Disk Operating System の略です。
how many files(0-15)? という意味不明の文が真っ黒い画面に浮かび、どうしていいのかわからずにおろおろしたのが思い出されます。
かなり脱線して、失礼しました。
do の複数形が dos よりも do’s の方がいいという話でしたね。
さて、do の複数形が do’s の方がいいからといって、don’t の複数形を don’t’s にするのはかえって変ですからやらないでくださいね。(やるわけないか)
ではこの表現を用いて、「ウェブデザインでやっていいこといけないこと100」って、何ていえばいいでしょうか。
100 do’s and don’ts in web design という感じです。
ちょっとは知識が増えたでしょうか。
朝香豊
☆最終延長決定!秋に魔法の英語表現が手に入る最後のチャンス。
朝香豊
英単語研究家、学習塾大学受験IRL創設者。英語教育の水準をあげるべく、英単語を丸暗記するのではなく、言葉1つ1つにの奥にある論理とイメージを大切にする指導が人気を呼んでいる。「澄みわたる英語」主宰。
引用元:この意味分かる?「It's a must.」