横浜市内にて(写真1)

 

★本稿の結論は「ぐちゃぐちゃ考えず、行ってみて撮る。そしたら、イイ写真が撮れる確率が上がるかも」ってことです。

 

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先日、冒険家・田中幹也(タナカカンヤ)さんのトークイベントにお邪魔させてもらい、その様子を音の小さいミラーレスカメラ撮らせて頂いた。


トークの中、カンヤさんはご自身が冒険されたいろんな場所で、自身が撮影された写真を交えながら話を進めていかれたのだけど、驚いたのはその写真の持つ不思議な魅力だった。


かなり衝撃を受けた。魅力というか、魔力というか。

 

自分の写真と全然視点が違う。

雪に埋もれた山小屋、白毛門の樹林帯、セルフタイマーでの自撮り、長い銃を持ちソリに乗ったエスキモー/イヌイット、冬の青森の駅、共通するのは、当たり前すぎるけど「その場にいなければ撮れない写真」ということだ。
 

そして、トークによる解説でそれぞれの写真がイマジネーションを掻き立て、自分の中で別のストーリーとつながる。

カンヤさんの撮られた写真は正直な感想を言えば「記録・スナップだけど、構図がキチンとしていて、破綻してない」という感じだ。*偉そうにすみません。

 

でも、多数読書されているようでそういう所から自然と構図取り能力が着いたのかも知れない。

 

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今時のカメラはシャッターを押せば、うまく写るようカメラが自動的によろしくやってくれる(*)ので、人間の「技術」なんてのが介在する余地はあまりない。実際、全自動で綺麗な写真が撮れるスマホの登場でコンパクトカメラは淘汰されてしまい、カシオもこの業界からの撤退を余儀なくされた。

*そのフルオート一眼カメラの最高峰が、NIKONのフラッグシップ Nikon D5(▼)とAF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR & 70-200だと思う。もちろん、意図的にパラメータ変更してひねりを加えられる。

▼しっかりしたカメラを作るのに商売が下手で、常時CANONの後塵を拝しているメーカーのフラッグシップカメラ。兎に角どんな条件でも「撮れない」ということが限りなく少ない。

 

米国では2012年ごろに「専業カメラマンを全員クビにして、記者にiPhoneもたせる」という新聞社が現れた(=後に、雇用問題やスマホでは望遠が撮れないので撤回となった)。

 

2012年の『世界報道写真展』でも、展示会冒頭の頭書きで「この2年は多くのカメラマンが職を失った年でした」とあった。間違いなく、スマホの登場によるものだろう。

 

本稿の最後にこの記事の3枚の写真の「技術解説」を書く。

 

今回撮らせて貰った写真もほぼフルオートだ。

正確に言うと、暗闇に対応できるようにカメラの設定を「暗闇オートフォーカスモード」に変えただけ。

 

大きいボディやレンズだから、技術が必要で使いこなすの難しそう、というのは幻想。

 

大きいボディはとしっかり構えらるからブレないし、大きいレンズは暗いところで沢山の光を集められるから、むしろ簡単なのだ。

 

あるといえば、「そこにいるかどうか」と「被写体に対する観察眼」ぐらいだと思う。

 

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尊敬する無名登山家(*)が、「山岳写真は、その場にいるかどうかで勝負が分かれるジャンルだから、とにかく行って、数打て」と言っていたのだけどまさにそう。


*「山を"制覇"するってどういう意味だ?」と言っていたので好きになってしまった。竹内洋岳さんも「アタック」という言葉を使わず、「そこに自分の体を持ち上げる」と言っている。

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カンヤさんの写真は一眼レフを使用していないと思うのだけど、そういう問題でもない。

写真2

 

よく、上のような写真を見て、「写真が上手いですね!どうやったら撮れるんですか?教えて下さい」と聞かれるのだけど、答えは「その場に行って、シャッターを押す」ということしかない。

 

この写真はポケットに入れていたSONYのコンパクトカメラで、南アルプスの悪沢岳の山頂でフルオートで撮った。いた人は、自分入れて3人。

 

世界で3人だけが見た、悪沢岳のご来光。

 

荒川中岳避難小屋を午前2時半過ぎに出て山頂で夜明けを待ってカシャッ!

 

構図には気を使っているんだけど、センスじゃなくて定石のものだ。

 

この写真だと、雲海を画面上8割ぐらいまでもってって、空の面積を少なくする。

 

専業の山岳カメラマンの方からは笑われそうだけど、CANONのEOS KISSとオマケで付いてくる廉価なレンズでも撮れる。


むしろ、そういう人は「分かっている」から、笑わないか。

 

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写真3

ヤクルトバレンティンが、56号ホームランをライトスタンドに突き刺した瞬間

 

こういう写真は、コンパクトカメラじゃ撮れないけど。

でも、山に行くのに登山靴とザックがなければ行けないのと同じ理屈だ。

だから、非日常的空間にカメラを持って出かければ自動的に「上手な写真」「人を惹きつける写真」が撮れると思うのだ。
ノイズレスでクリアーな写真が必ずしも「良い写真」というわけではないし。
 

トークイベントに行った親友が言っていた。

たくさんの笑顔があふれました

超満員のお店の中は
生きていればつきまとういろいろな悩みや苦しみが入る余地はありませんでした」
(C)H.K
 
そこに少しだけ性能のいいカメラを持ち込んだら、
カンヤさんもきさくなお客さんも自分も、
後から見返してまた笑顔になれる写真が撮れていた。
 
 
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各写真の技術解説
 
写真1
プロジェクターでAFをあわせ、カメラを持ち上げて背面モニターで上から見下ろすように構えた。
カメラの設定は「暗所でオートフォーカスができるモード」。
 
写真2
荒川中岳避難小屋の主人と仲良くなり、未明に写真撮影のためゴソゴソ動く旨を伝え、了解をもらった。
荒川中岳避難小屋はとても小さい小屋なので夜中の物音にはすごく気を使っている。中に注意書きもある。
カメラの設定は「フルオート」。
 
写真3
このホームランは、神宮球場にて2013/09/15の18時15分に放たれたので、その時間に球場の良い位置にいるようにした。
いつバレンティンがホームランを打ってもいいように、神宮球場への最短ルートと客席の確保に努めた。
ちなみに、57号、59号、60号(現時点で日本記録)も撮った。
カメラの設定は「秒間11コマ連写」。あとはオート。
 
以上! 技術的? なことは、写真1で「暗所でオートフォーカスができるモード」にしたぐらいで、あとは、いかにその場に行けるかの「技術力」です〜   (*^^*)
 
<おしまい!>
 
--記事履歴
2019/07/01 ver1.0 また変わるかも知れないです〜 (*^^*)
2019/07/02 ver2.0 また変わるかも知れないです〜 (*^^*)