“旅のラゴス”
なんかネットのオススメでチラッと見て、書店のポップにも“読んでおきたい本 100選”にも入っているという理由から、今回はこの本をチョイス。
筒井康隆の“旅のラゴス”。
突然高度な文明を失った世界で、超能力を持った人々が生活する。
そんな世界を主人公のラゴスが北から南へ、南から北へと旅をする。
その旅の目的とは…。
そんな内容なんだけど、ラゴスが様々な街で、色々な超能力を持った人々と出会っていく。
壁抜けが出来る大道芸人・ウンバロ。
森の中でだけ飛べる少女・カカラニ。
聞いた事を一字一句間違えずに覚えられる男・タッシオ。
顔を変えられる絵描き・ザムラ。
そんな中、ラゴスの人より長けた能力とは…
“人の良さ”。
はい、ズコ~と思うでしょ?
ただ、その人の良さは何と無くではなく…
「それは雰囲気なんてもんじゃない。もっと確かなもんだの。ことばほど確かなもんじゃないにしてもね。」
と出会った人に言われるほど。
なるほど、なるほど…。
こりゃ、確実に何かの布石になってるな…っと。
布石はこれだけじゃない!
壁抜け大道芸人・ウンバロに壁抜けのコツを聞いた夜に、宿屋で試したラゴスは、ちょっと壁にめり込んだからね!
怖い!怖い!と途中でラゴスはやめてしまったけど、はい、これも布石だな…っと。
これらの超能力を使って何かが、後半に爆発するパターンなんだな、と思ってラゴスの旅を見守る。
旅の途中、奴隷となって銀を何年も掘らされたり、人身売買の商人に捕まって売られそうになったり、時には王様になったり、ページは進んでいくんだけど、一向に落とし所が見えて来ない…。
そして、そんな感じのまま…
しゅ~りょ~。
人の良さは特に関係ないし、あの時以降壁抜けもしませんでした…。
要はねぇ~、ラゴスが生涯に渡って旅をして、色んな場所で色んな人との出会いで成長していくって話だね。
最後にドンガラガッシャ~ンなオチがある訳でも無く、布石(結果、布石でも無かったんだけど)を回収する訳でも無い。
旅の目的がオチだと思ったんだけど、それは見事に肩透かしにあいました。
とは言え、全体的にワクワクするし、テンポも良いし、オチを必要以上に期待しなければ面白かったです。
ただ、一つ気になる事が…。
ラゴスは人が良いから、とにかくモテるのよ。
森の中で飛べるカカラニ。
相手の気持ちが分かるニキタ。
笑顔が妖艶なデーデ。
この3人、明確な記述はないけど恐らく10代前半から半ば位の年齢。
ラゴスは、カカラニとニキタの二人と一夫多妻で結婚して子供も産む。
デーデに関しては、最後までデーデを追いかける。
なんだろ…?
もうそうゆう性癖だよね。
もちろん成人女性とも恋もあるんだけも、前出の3人の印象が強くて強くて…。
まっ、そこもSFですから気にしないようにしましょ!
ちなみにこの“旅のラゴス”は宮崎駿が映画化しようと企画が挙がったほど、評価されてる作品です。
よかったら、読書の参考にしてください。