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【閉鎖】小規模企業経営のヒント~実体験&クライアント事例から発信します~

株式会社エッジコネクション 代表取締役社長大村康雄のブログでしたが、現在は当社HPコラムコーナーにて執筆中

営業とは、究極的には確率論です。

アポイントを重ねまくればどんなに商談力がない人でも

「ちょうどそれ欲しかった!」

という人に巡り合って受注できます。

 

私がよく使う例えなのですが、

 

アポイント数=ガソリン

売上=総走行距離

商談力=燃費

 

です。

 

どんなに燃費が悪くても膨大にガソリンを詰めれば長く走れます。

言い換えますと、

どんなに商談力が悪くても膨大にアポイント数を重ねれば売上は伸びます。

ということです。

 

逆を言えば、アポイント数をカウントする習慣が無いと燃費が良くなってるかどうか

判断が付きません。

よって、毎日、お客様と打ち合わせをした件数は必ずカウントし、商談力が

改善したかなどがわかるようにしておく必要があります。

 

ただ、このアポイントのカウントですが、始めてみると意外にややこしいです。

・問い合わせが入り訪問した商談

・受注したお客様との打ち合わせ

・久しぶりだから会いましょうかというアポイント

などなどアポイントの種類は様々で、この種類分けで戸惑っているうちに

カウントしなくなるというケースも多いようです。

 

そんなとき、多くのケースで適用できる分け方は以下の3つです。

・これから受注する見込みのあるアポイント

(ただ会うだけではなく営業資料を説明するなど営業行為が伴わなければカウント不可)

・受注したお客様とのアポイント

・社内での打ち合わせなど上記2つ以外のアポイント

 

この3種類のアポイントにわけてカウントしてみてください。

そうすると、月単位などの長期で見たとき、

・新しい仕事を取ろうとしている時期

・受注に対して納品を頑張っている時期

・社内体制整備に追われている時期

と、アポイントの分布から傾向がわかるようになります。

 

同時に、受注獲得のための動きが少なくなってきてるからまずいなど

先手を打って対策を取れるようになります。

 

重要な経営資源の一つが、全従業員の時間です。

全従業員の時間が有効に活用されているか。

それをシンプルかつ効果的に把握できるのがこのアポイントのカウントなのです。

 

使ってしまったら絶対に取り返せない時間という経営資源がどう使われているかが

わかっていない。

この事実は結構大きな経営上の問題であると捉え、カウントを始めてみると、

取るべき施策が色々と見えてきます。

能動的ではない社員をどう頑張らせるか。

多くの会社の悩みだと思います。

 

その悩みに対し、当社で行っていることをお話すると、多くの経営者から

「面白い。」「画期的。」といったお声を頂いてることに気づき、今日はそれを

取り上げます。

 

社員にどう頑張ってもらうか。

 

結論を言えば、【全社員に売上目標をつける】という施策です。

アメーバ経営などに近い施策ではありますが、一人ひとりにまで落とし込んで

売上目標をつけるという方法です。

 

当社では、全社員が売上目標を持っています。

営業スタッフだけではなく全員です。

管理部門もアシスタント職も全員です。

 

仕事とは、必ず社内社外問わず誰かのために行われています。

社外の方のためであれば、売上という形で仕事の見返りが入ってきます。

同様に、社内でもこの関係性を構築するのです。

 

具体例で説明します。

 

営業スタッフがお客様からお仕事を受注します。

 

その後、この仕事が営業スタッフだけで完結するのではなく社内スタッフの

チカラを借りなければいけない場合、営業スタッフの受注額から携わるスタッフへ

売上が分割されるのです。

 

適正価格が決まるまではこの分割をいくらでやるのかは議論の必要がありますが、

繰り返していくうちに社内売上表のようなものが作られたり、前例がたくさんできるので

「こういう仕事はいくら」と議論もスムーズになります。

 

こうして、営業スタッフの受注は全額その営業スタッフの成績ではなく、

携わった他のスタッフにも売上を分けて、その残りのみが営業スタッフの成績となります。

 

そうすると、

・営業スタッフは過度な値引きができなくなります。

・営業スタッフは分割した売上に見合うだけの仕事をしてもらえてるか社内スタッフへチェックがシビアになります。

・仕事が流れてきたスタッフは、いくらくらい稼働しているか=働きぶりという指標ができます。

・指標ができれば、もう少しここを改善すればより早く(多く)出来るかもと自分で改善ができます。

・売上と一緒に仕事を渡すことで「お金払ってるからしっかりやってね。」と責任の所在が明確になります。

などなど様々なメリットが出てきます。

 

そうして、一定程度、社内売上が定着すると毎月いくらくらいは目標として掲げられるという

数字が見えてきますのでそれが売上目標になります。

また、この売上目標とインセンティブ制度を連動させることで、業務効率をどんどん上げれば

売上が上がり、給料も上がるという流れになります。

 

また、総務や営業事務など、部門全体の管理、サポートを担当するスタッフは、

サポートをする対象のチームの成績の○%という形で設定します。

つまり、自分の頑張りでチーム全員の成績が伸びたら自分の売上も伸びるという形です。

 

よって、厳密には、営業スタッフ以外は動いた分の売上が入るというイメージなので

営業職をやらされるかのような印象は生まれません。

 

しかし、営業職の受注が減るということは自分の売上が減ります。

また、そのような状況では多くのスタッフが暇になります。

 

よって、援護射撃として「営業スタッフにアポイントを取ってあげると営業スタッフから2万円の売上がもらえる」などという制度を作ると、売上目標を達成するために営業スタッフのためにアポ取りをしようという動きも出てきます。

 

当然、この2万円は社外から売上がもたらされたわけではないのでこの段階では実態のない2万円です。ですが、この援護射撃で営業スタッフの稼働が上がれば、営業スタッフも2万円を取り返すべく必死に営業するでしょうし、いずれ売上としてもたらされるでしょう。

 

以上が概要です。

 

当社のビジネスモデルはヒトが原料のようなものですので、知らないうちに人事関連は様々な施策を行っているようです。

 

最近、それを共有してほしいというお話もチラホラ頂くようになりましたので、ご興味ある方はお気軽にご連絡ください。

 

ちなみに、この社内売上制度を行うメリットは多々ありますが、デメリットは社長である私でさえ、

「ちょっとこれやっといて。」ができなくなることです笑

「社長、これはいくらでしょう?」となります。「その分、しっかりやれよ。」と言えますが、

良くも悪くもサバサバドライな社風に変わるかもしれません。

当社は営業のコンサルティングやアウトソースを行っているわけですので、

様々な企業から「こういう商品(サービス)をこういうターゲットに営業していきたい」という

お話を日々いただきます。

 

そのようなミーティングをしていて、「よし、これで進めましょう!」という会社と

「もう少し議論を重ねてから固めていきましょう。」という会社、大別して

2つの社風をよく感じます。

 

もちろん、シチュエーション次第、ケースバイケースではありますが、「議論を重ねてから」

という社風の会社は新しく取り組み始めた営業活動が実るまで時間がかかることが多いです。

 

当然、議論を重ねるわけですからなかなかスタートしないというのもあります。

ただ、それよりも大きいのは議論を重ねる過程で営業戦略が霞んでいくのです。

 

「今回の新サービスは管理部門のデスクワークの負荷を減らすサービスである。

これをどうやって営業してくか。」

 

こんなお題があるとします。

 

ある会社(A社)は、

「負荷を減らすサービスですから、恒常的に人手不足の中小ベンチャー企業を攻めるべきでは?」

と誰かが提案し、6~7割の賛同が営業メンバーから得られたとします。

その時点でもう営業がスタートしました。

 

もう一方の会社(B社)は、

「負荷を減らすサービスですから、恒常的に人手不足の中小ベンチャー企業を攻めるべきでは?」

と誰かが提案したところ、

「中小ベンチャー企業だと規模が小さく受注額が低くなるので大企業を狙おう。大企業にも管理部門の人手が足りないところはあるはずだ。」

との提案が上がりました。そして結局、

”大企業も中小ベンチャー企業もどちらにもご活用頂ける!”

というのをウリにして営業がスタートしました。

 

このとき、営業スタッフの優秀さや営業資料のわかりやすさなどがA社とB社全く同じ前提であれば

A社の営業活動の方が多くの収益をもたらす可能性が高いです。

 

まず、実際に中小ベンチャー企業にこのサービスが受けるとすれば、A社はそこを狙ってますから

その時点で大きな収益をあげられるでしょう。

B社も中小ベンチャー企業を狙ってますが、大企業への訴求も行ってますのでメッセージ性が

弱まります。

 

次に、大企業にニーズがある場合。A社は最初は大ゴケし、B社が収益を得るでしょう。

しかし、ターゲットを中小ベンチャー企業に絞ってたA社はどこかのタイミングでターゲットを

変えなければと思うはずです。つまり、大企業のチカラになるサービスと売出し始めるでしょう。

そこからはA社が追い上げていきます。

 

ここで、どちらのケースもB社もそのうちターゲットを限定的に営業するのでは?そして、結局は

A社と同じことになるのでは?と思うと思います。

ですが、多くのケースではそれは起こりません。なぜなら、そこそこ成功しているからです。

両方のターゲットを攻め、一定程度収益が上がり、また正解ではないターゲットも全くのゼロ

というわけではない。こういう状況のとき、営業戦略を大きく見直す舵は取りにくいのです。

 

荒削りでも良いので営業戦略は輪郭が固まったらスタートして後は軌道修正を行う。

その意識で意思決定をしていくと、議論の手間も省けて収益も増大していき、一石二鳥です。