黒澤明 没後20年記念作品 ミュージカル『生きる』@自宅 | 枝並千花オフィシャルブログ Powered by Ameba

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2018年10月 TBS赤坂ACTシアターにて行われた黒澤明 没後20年記念作品、ミュージカル『生きる』を、WOWOWの放送にて観賞。

『生きる』は、黒澤明監督の1952年の作品。演出家宮本亜門氏が手掛け、黒澤映画が世界で初めてミュージカル化されました。

定年間近の市民課長の渡辺勘治は、胃がんを患い余命わずかを宣告されます。残された時間をどう使うのか、これまでの人生を考え直し、本当の意味で「生きる」ということを見つけていくストーリー。
主人公の渡辺を、俳優の市村正親さんと、鹿賀丈史さんの豪華ダブルキャストで演じられ、それぞれの魅力が満載で違う作品にも感じられるほどでした。



主人公の台詞が極端に少ないこの作品をミュージカル化することが、最初の悩みだったと、インタビューで宮本さんがお話されていました。台詞が少ない分、心情を表現するのは難しい役どころと思いますが、さすがミュージカル界で長年第一線でずっとご活躍されている市村さんと鹿賀さんの、ご経験と余裕から生まれる主人公の姿は、それぞれに魅力があり、とても台詞が少ないとは思わせない圧倒的な存在感があります。





生と死、誰もが持つテーマについて、自分ならどう生きるのか、どう生きたいのか、本当に生きるとはどういうことなのかを深く考えさせられる作品でした。ミュージカルならではのユーモアも織り込まれ思わず微笑んでしまう場面もありながら、今回の音楽を手掛けたブロードウェイ・ミュージカル『若草物語』の作曲家、ジェイソン・ホーランド氏の音楽がまた感動を生み、悲劇ではあるのですが気持ちがあたたかくなる、素敵なミュージカルでした。

「黒澤映画ファンには最初は少し抵抗があるかもしれない…」と宮本さん。「でも!ミュージカル版ならではのあたたかい心のこもった作品が出来ました。是非見ていただきたい!」と続けて語られていました。 

クラシック界でも、伝統を守りつつのチャレンジというのは本当に大変です。何か新しいことにいつでもチャレンジしたいし発信していきたいと思い続けている私にとって、ミュージカル界の新たな挑戦に、尊敬と感激と刺激など、たくさんのエネルギーを頂きました。

黒澤映画は『羅生門』しか観たことがなかったのですが、今回のミュージカルをきっかけに映画『生きる』も観賞。静かに優しく進んでいく感じが胸に染みました。





再公演に期待し、次回は劇場で観賞出来たらと思います。