平成30年9月定例会 一般質問   辻村 修

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(前文)

 香川県の人口減少は平成12年からはじまり19年間下がり続けていますが、生産年齢の人口減少はすでに29年前の平成2年ごろから始まっています。景気の動向や雇用環境の変化で就業状況は左右されますが、平成3年のバブル崩壊、平成20年のリーマンショックを経て日本経済は停滞し、労働者の減少は吸収されて『人手不足』は、職種に限定された問題となっていました。民主党政権時に最悪となった日本経済は自民党政権の復活とともに右肩上がりに転じ、ここ2,3年でほとんどの職業で『人手不足』が顕在化してきました。香川県の生産年齢人口は毎年1万人弱減っており、11年前の621,880人が6年前には580,372人、昨年が534,516人と10年間で87,364人激減していますが、雇用者数は、11年前が403,400人、6年前が400,700人、昨年が405,200人と10年前から1,800人ほど増えています。すでにここ10年間、香川県の労働力は高齢者や外国人労働者の増加でカバーしてきたことが明白なのです。昨今、『働き方改革』と称し、女性や高齢者の雇用促進が叫ばれていますが、香川県の女性の就業者数は11年前が220,500人で女性の人口に占める割合は42.1%、6年前が215,600人で42.1%、昨年が217,200人で43.5%と横ばい、65歳以上の方の就業者数は11年前が58,300人で65歳以上の人口に占める割合は23.8%、6年前が60,100人で22.8%、昨年が73,600人で25.0%と人数こそ増えていますが、団塊の世代の方々が70歳を超える今後は就業率が増えても雇用者数は頭打ちになっていくことが推測され、女性と高齢者での更なるカバーは今後、極めて厳しくなることが推測されます。

 求職者の状況を見ますと、平成21年度の有効求人倍率は0.64とどん底になり、自民党政権復活と同時にV字回復の一途をたどり、本年8月時点で1.78となっています。従前、有効求人倍率は景況状況の指標となっていましたが、現在では求職者数が減少し続けており、人手不足状況把握の指標へとなりつつあります。

 県内総生産や県民所得も平成22年度を底に回復を続け10年前を上回る水準まで回復しました。日本の貿易依存度は15%程度、内需産業は85%程度であり、香川県の産業構造で今後経済力を持続発展させていくためには、人口減少が改善しない限り、国内においては移出額の増加、国外への輸出額の増加、交流人口の拡大、労働力人口の確保育成が大きな課題となります。

 浜田知事は本議会の議案説明で3期目の所信を表明されましたが、この中で人口減少問題の克服、地域活力の向上を目指し『成長するかがわ』を実現することが大きな柱のひとつであるとしたうえで、雇用の確保、AIの活用、地場産業の発展の重要性を語られました。これまでも『かがわ人口ビジョン』『香川県産業成長戦略』を策定し取り組んでこられましたが、大きな目標を実現するためには刻々と変化する雇用環境の詳細な状況認識と先見性のある大胆な戦略を実行していくことが必要であると考えます。『未来の香川県を担う人材の確保・育成策』についてどう取り組んでいくのか、以下の項目について知事、教育長に質問いたします。

 

(質問)

 第1点は『県内人材の定着策』についてであります。

 短大・大学進学率が5割を超え過去最高となりました。残念ながら県外大学の卒業生の県内就職率は低く、これまでも県内外の若者への就職相談、面接会、インターンシップ等、また医師・看護師については県内就職を条件とした修学資金貸付制度を行っていますが、それらの成果についてお伺いします。県内大学の卒業生の県内就職率が高いことから県内大学の魅力アップによる学生数の増加を図るべきと考えます。全国では私立大学の公立化により志願者数が増えた大学が出てきており、香川県でも検討してはいかがでしょうか、また、『造船』『機械』『観光』等々県内の有力産業にマッチする学部設置を要望してはいかがでしょうか?その他、県内人材の今後の更なる定着策についてお伺いします。
 

(知事答弁)

辻󠄀村議員の御質問にお答えいたします。

まず、県内人材の定着策についてであります。

若者の県内定着を促進することは、極めて重要であることから、「ワークサポートかがわ」では、就職相談、就職面接会の開催、インターンシップの推進等に取り組んでおり、これまでの就職相談件数は8月末現在で

2,908件、本年5月と8月の就職面接会には合計で357人の求職者が参加しました。

また、昨年新設したインターンシップ情報サイトには、8月末現在で366人の学生が登録し、このサイトを通じて152人が県内でインターンシップに参加しており、これらの取組みを通じて、開設から8月末現在で117人が県内企業に就職しております。

医師や看護師につきましては、医学生修学資金の貸付けを開始した平成19年度以降に貸与した者のうち、県内の医療機関で就職したものは、医師45名、看護師93名であり、現在貸与中の医学生83名、看護学生42名につきましても、来年度以降、県内医療機関での就職が予定されています。

県内の私立大学の公立化については、各私立大学においては、建学の精神を生かし、それぞれの特色や特長を持った自主的な大学運営に意欲的に取り組まれているところであり、公立化の検討まではしておりませんが、県として、大学の魅力づくりに対する支援を行い、県内私立大学の入学者数は、支援を開始する前の平成27年度には1,103名であったものが、今年度は1,147名に増加しております。

また、御指摘の学部設置の要望につきましては、県からの観光分野での人材育成を図るための提案等も踏まえ、本年4月に、香川大学経済学部に「観光・地域振興コース」が設置されたところであり、造船・機械等の分野につきましては、県内大学等と一層の連携・協力を図りながら、理工系人材の育成に努めるとともに、県の「大学生等かがわ定着促進基金」による奨学金返還支援制度を活用し、ものづくり分野へのUターン就職等を促進することなどにより、県内産業のニーズ等を踏まえた人材確保・定着を図ってまいります。

そのほか、本県独自の大学生等奨学金制度について、本年4月から、県内に居住・就業した場合に返還額の一部を免除する要件を緩和するとともに、移住・定住の促進や県内大学等が行う魅力づくりへの支援等に積極的に取り組み、若者の県内定着の促進を図ってまいりたいと考えております。

 

 第2点は『高齢者と女性の雇用策』についてであります。

 冒頭でも述べました通り、ここ10年間で65歳以上の就業者数は1万5千人余増えましたが、団塊の世代が70歳を超える今後、生産年齢人口のカバーをするだけの増加は厳しくなっていくことが予想されます。千葉県柏市では『柏プロジェクト』と称し、年齢に関わらず活躍し続けられる一億総活躍社会の実現に向け、『シルバー人材センターの機能強化』として、ジョブコーディネーターによる事業の掘り起こしと拡大を行い、高齢者の就労に取り組んでいます。そこで、高齢者人口が増えているなか、働きたい人が働き続けられるための環境づくりなどの『高齢者の雇用策』に、県としても積極的に取り組むべきと考えますがいかがでしょうか?

 また、香川県の女性の雇用者数はここ10年で3,000人ほど増えており、分母が減っていることを考えると就業率は右肩上がりで急速に増えているといえます。香川県の未来の労働力を考えると女性の雇用増は必須でありますが、就業を促進するためにはハードソフト両面での雇用環境の整備とキャリアアップへの支援が課題となっています。今後女性の就業率を上げるためには、県としては今まで以上の取り組みが必要であり、どのような取り組みをしていくのでしょうか?

 

(知事答弁)

次は、高齢者と女性の雇用対策についてであります。

生産年齢人口の減少が進む中、働く意欲のある高齢者や女性が、その個性と能力を十分に発揮でき、いきいきと働き続けられる社会の実現を図ることは重要であると考えております。

高齢者の雇用促進につきましては、香川求職者総合支援センターにおける就労相談や、シルバー人材センターが行う就業機会の確保事業への支援を行うとともに、香川労働局と連携し、高齢者対象の「就労啓発セミナー」を開催することで、高齢者の就労促進を図っております.

女性への就業支援としましては、再就職を支援するためのセミナーを開催するとともに、企業の人事労務管理者を対象とし、女性が働き続けやすい環境づくりのためのセミナーを実施しております。

また、中小企業へのアドバイザーの派遣や、専門の相談員が生活や就職についての相談を行う「女性のための出張労働相談会」を実施するとともに、女性が働きやすい環境づくりを行う企業の自主宣言である「かがわ女性キラサポ宣言」制度を設けております。

加えて、今年度から、高齢者や女性の職域拡大のため、社内労働環境の整備や、テレワークなど柔軟な働き方の推進を行う企業に経費の一部を助成する「働き方改革環境づくり助成事業」を実施し、その成果を周知することで、高齢者や女性の就業支援を促進してまいります。

私といたしましては、今後とも、高齢者や女性の働きやすい環境づくりを推進し、働きたい人が働き続けられるための支援に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

 

 

 第3点は『人手不足の激しい職種への対応策』についてであります。

 AIの進展により2030年までに国内の就業者は約161万人減少するものの、労働力人口はそれ以上に減少して、単純に試算すると失業者は増加せず、むしろ約64万人労働力が不足するという試算があります。2030年というのは12年後であり、そんなに遠い未来の話ではありません。大手金融機関ではすでに事務作業の自動化やデジタル化による業務効率を進め大幅な人員削減を実施しています。また、自動車の自動運転の実証実験が国内外で近い将来の導入に向けて進められています。他の業界も同様の方向性を示しており、AIの進展による将来の求人動向に注視していかなければなりません。10年後になくなる職業としてよくあげられるのが、小売店販売員、会計士、一般事務、セールスマン、自動車の運転手等です。逆になくならない職業としてあげられるのが、教師、弁護士、保育士、カウンセラー、システムエンジニア等です。県としては少なくとも10年後を見通して人材の育成施策等を展開していく必要があると考えます。

 一方、足下では、多くの職種において人手不足の声が上がる中、AIの進展を待つのではなく、喫緊の課題としてその対応が求められる職種も存在します。

 1つ目は『IT人材』です。今でも不足が慢性的になっており2030年には全国で80万人不足するとも言われています。全国的にも争奪戦が激しく、中小企業は大企業に、地方の企業は大都市の企業に“雇い負け”している現状に加え、AI、IoT化の進展を考えると未来の香川県経済にとって生命線ともいえるのではないでしょうか。大学、専門学校、企業等々を巻き込んだ確保策が必要であり、先般知事から松尾研究室と三豊市のAI研究の取り組みも紹介されましたが、他にもそのような大学・専門学校等との連携強化策、女性・シニア・外国人のIT人材の活用策、IT人材の個人のスキルアップ支援策等々を講じるべく検討すべきと考えますがいかがでしょうか?

 2つ目は『建設関係人材』です。民主党政権時の『コンクリートから人へ』に端を発し、将来が見通せなくなった感のある建設業界から人離れが加速しています。監理技術者もそうですが、特に専門職の職人は高齢化が著しく将来の業界を支える人材がみあたりません。一昔前は10年近くの修行を積んで一人前となっていくものでしたが、現代の若者ではなかなか長続きしません。県内には高校卒業の資格を取りながら職人を目指すという先進的な取り組みにチャレンジしている『匠の学舎』という民間団体がありますが、まだまだ緒に就いたばかりです。県や国も働き方改革や職場環境整備に取り組んではいますが専門職の職人育成にはほとんどつながっていないような気がします。このような職人育成の取り組みへの支援強化をしてはいかがでしょうか?また、国では背に腹は代えられず、建設関係労働者に外国人労働者の雇用を検討しているようですが、検討状況と県の取り組みについてもお伺いします。

 3つ目は『農・水産業人材』です。人口減少が加速する中、本県の農業・水産業を持続させるために、新規就農者や認定農業者など農業生産の中核となる人材確保策を講じられています。ブランド農水産品の生産拡大を目標とはしていますが現実には農・水産業従事者は激減しており、すでに香川県の大規模な農業生産の労働力を担っているのは外国人の技能実習生です。全国的にも農業就業人口の減少には歯止めがかからず、外国人に対する新たな在留資格を設ける方向で検討がなされていますが、技能実習生の活用についてどのように考えているのかお伺いします。

 4つ目は『看護・介護人材』です。看護や介護分野での人手不足は深刻化する一方であり、その対策は待ったなしの状況です。『信頼・安心のかがわ』を実現するためにも不可欠であり、団塊の世代が後期高齢者となる2025年に医療と介護の安心が根底から覆るといわれる『2025年問題』が、あと7年後に迫ってきています。修学資金支援、待遇や職場環境の改善もなされていますが、現在どのような状況であるのかお伺いします。国は深刻なこの問題を解決するためにEPAによるインドネシア・フィリピン・ベトナムの3か国の外国人人材の活用を推進してきましたが、言葉の壁から資格取得者は少数であり、この制度の失敗が囁かれ、制度の改革に取り組んでいるようでありますが、現在この制度を活用してどの程度の人材が香川県で働いているのでしょうか?EPAを活用した人材確保に積極的に取り組むべきと考えますが、ご所見をお伺いします。

 

(知事答弁)

 次は、人手不足の激しい職種への対応策についてであります。

 まず、IT人材についてですが、私は、県内産業の生産性向上や競争力強化等を図るため、幅広い分野でAI、IoT等の先端技術の活用を推進していくことが重要であると考えており、AIに関する講演会や県内企業を対象とした研修会の開催等を行うとともに、

AI等の利活用の推進に向け、IT人材の育成を含め、県としてさらに果たすべき役割は何か、具体的に検討しているところであります。

また、議員御指摘のIT人材の活用やスキルアップ支援等については、「ワークサポートかがわ」における人手不足分野のマッチング支援や、高等技術学校における民間教育訓練機関を活用した職業訓練などを行っているところでありますが、さらにどのような対応ができるのか、検討してまいりたいと考えております。

 次に、建設関係人材については、昨年度から、認定職業訓練に取り組む事業主団体等の訓練実施に加え、県外出身の訓練生の訓練受講等についても支援しているところであり、今後とも、関係者の御意見等を伺いながら、この制度の有効利用が図られるよう努めてまいります。

 建設業を含む様々な分野での外国人労働者の雇用については、国の「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」において、外国人材の円滑な受入れの促進や、外国人との共生社会の実現に向けた環境整備の取組みの拡充等について検討がなされていると承知しており、こうした中、私もメンバーとして参画する全国知事会の「新たな外国人材の受入れプロジェクトチーム」が、本年8月末に国に要請を行ったところであります。

 次に、農・水産業における技能実習生の活用については、技能実習制度は、国際貢献に加え、一定の技能水準を有する外国人を育成する必要性もあり、継続的に活用されるべきものと考えておりますが、対象分野や作業内容に制約があるため、農業法人や水産関係者の御意向も踏まえ、全国知事会を通じて、国において検討されている新たな外国人材の受入業種に農業や漁業等を位置づけるよう、要請を行ったところであります。

 次に、看護職については、本県の人口10万人当たりの人数は、平成28年

12月末時点で約1,600人と、全国平均の約1,200人を上回っておりますが、県看護協会が本年7月に県内病院に実施した調査では、52.5パーセントの病院が不足感を表明しており、現在は不足している状況と考えています。

 また、介護職については、平成29年度介護労働実態調査によると、81.8パーセントの事業所が不足していると回答しており、厚生労働省による推計では、2025年度末には全国で約34万人、本県では2,465人が不足する見込みとされています。

 こうした中、経済連携協定により、本年8月末時点において、看護分野で2人、介護分野で137人の外国人が、本県の医療機関や介護施設で働いており、今後も受入施設を通じた学習支援を行うなど、同協定を活用した人材確保に積極的に取り組んでまいります。

 

 

 第4点は『外国人人材誘致戦略と先進的環境整備』についてであります。

 香川県に暮らす在留外国人の方はここ5年間で3,300人余増えて平成29年12月末時点で11,636人となっています。中でもベトナム、フィリピン、インドネシアをはじめとする東南アジア諸国からは急増しており、今後もさらに増えていくことが見込まれます。すでに、製造業、農業などの分野は外国からの技能実習生がいなければ立ち行かないところまで来ています。人口減少が加速する中、様々な職種で外国人の労働力の需要が高まってきており、それなしに香川県経済を維持発展させることは極めて困難であります。しかし、現在、香川県内で働く外国人の間では必ずしも雇用・生活環境の評判が良くないようです。先進諸国で、また国内各地で人手不足が課題となっている中、今後、香川県が外国人の方々の働く場所として、また生活する場所として『選ばれる香川』とならなければ、より優秀でより多くの外国人の方に来ていただけないのではないかという懸念があります。『外国人人材誘致戦略と先進的環境整備』にどう取り組むのか、以下の項目についてお伺いします。

 1つ目は『高度人材誘致』です。技術者、ITエンジニア、マーケティング業務等、一定水準以上の専門知識や技術を有する人材の絶対数が不足しており、国内人材が大都市・大企業に集中する中、地方や中小企業では外国人の高度人材獲得熱が高まっています。しかし、外国人高度人材の認定、ビザの取得等様々な課題があるうえに、日本で就職するにしても大都市、大企業を望む人が多く、苦戦しています。留学生にしても卒業後母国に帰って学んだことを活かすわけでもなく、日本で就職するのでもなく、アルバイト目的の留学を斡旋する企業が多数存在するようです。県内企業のニーズを把握したうえで、県内の大学・専門学校と連携して、県内企業への人材誘致を積極的に進めていただきたいと考えますがいかがでしょうか?

 2つ目は『外国人技能実習制度』です。本来の制度の目的は『期限付きで日本の職場で経験を積み母国へ帰国して習得した技能で働きその国の発展に寄与する』というものでした。しかし、長時間労働や残業代の不払い等違法労働の問題や実習生の失踪の問題等、安価での低雇用環境との悪いイメージがあります。農業や介護現場などの人手不足に対応しようと、政府は、外国人労働者向けの新たな在留資格を設ける方向で検討しているようであり、最長5年の技能実習を終えるなどした外国人が、さらに最長で5年就労できるようにする新制度の来年度からの施行が検討されています。これはもはや『技能実習』ではなく『出稼ぎ労働』の制度です。多くの技能実習生の確保が期待されますが、これまで問題化したのと同様、“安価な働き手”の確保策として悪用される懸念もあります。我が国、我が県の人手不足、内需の縮小の問題は極めて深刻な問題であり、『技能実習制度』という“まやかし”の制度ではなく、『外国人雇用制度』及び『移民制度』とすべきと考えます。確かに『外国人との共生』には様々な課題がありますが、日本は過去も江戸時代や明治時代には移民を受け入れ、また明治以降海外への移民政策も行ってきました。先が見通せない人口減少時代に人口の下げ止まりを目標とする香川県としても真剣に検討しなければ、内需が85%の香川県経済は、じり貧の一途をたどるのではないでしょうか?外国人技能実習制度や国の新たな在留資格を活用した県内の外国人雇用に対する県の支援についてお伺いします。

 3つ目は『先進的環境整備』です。東南アジア諸国も経済的に急成長し無理に国外に出稼ぎに行かなければいけない理由は減ってきています。また、日本全体が人手不足であり、仮に外国人労働者が就業しやすく制度改正されても、その争奪戦は激しくなっていくことが想定されます。また、在留期間が10年ともなれば、もう『出稼ぎ』ではなく『住民』であり、外国人労働力を安価な単純労働者と考えるのではなく、共生する存在と考え環境整備を行い、『選ばれる香川』となることが重要であると考えます。外国人住民比率が高い群馬県や名古屋市等先進地域では『共生』の実現のために様々な取り組みをしています。マスコミでよく報道されている『ゴミ』『騒音』『税金』等の問題はパンフレットを用いるなどして警察と連携した生活ルールの周知徹底等、市町レベルで対処できるようであります。県として対処すべきは外国人住民と日本人住民を取り持つ『架け橋となる人材・組織の育成』、外国人のコミュニティーにおいて災害時の避難誘導や防災情報の提供を行う外国人避難リーダーを育成したり、外国人のための防災訓練を行うなどの『防災対応』、外国人対応時の「やさしい日本語」の普及啓発や医療機関受診時の多言語通訳サービスなどの『窓口対応』、各市町の対応を向上させるための『自治体間の連携強化策』、外国人労働者の日本語教育や家族の就学支援をするなどの『教育環境の充実』等です。特に『日本語教育』は重要であり、小学校入学2~3か月前のプレスクールや高校進学・就職の進路指導の拡充は効果の高い施策となっているようであり、県内でもモデル事業を実施すべきと考えます。外国人の受け入れが不可欠な香川県として『外国人の先進的環境整備』にどう取り組まれるつもりなのかお伺いします。

 

(知事答弁)

次は、外国人人材の誘致と環境整備についてであります。

県内の外国人労働者は、御指摘のとおり近年大きく増加しており、生産年齢人口が減少する中、本県経済の持続的発展に必要不可欠な人材となっております。

また、現在、国において検討されている新たな在留資格の創設は、地域の実情や産業界の要請を踏まえたものと認識しており、こうした観点から外国人労働者の受入れについて層取り組んでいく必要があるものと考えております。

このため、高度人材誘致については、今年度新たに「留学生受入・雇用促進事業」を実施し、将来、県内産業の担い手となり得る留学生の受入れに積極的に取り組む県内教育機関の支援を行うほか、留学生が卒業後に県内企業へ就職してもらえるよう、留学生と県内企業との交流会や面接会、企業見学会を実施しております。

次に、外国人技能実習制度については、県内の受入企業等が、昨年11月に施行されたいわゆる「技能実習法」による実習生の受入人数枠の拡大や、実習期間の延長等の制度の拡充の恩恵を受けることができるよう、今年度から新たに、

受入企業等に対し現地指導を行う経済団体を対象として、その指導に要する経費を助成し、これにより外国人技能実習制度の適正な運用を図り、県内企業への円滑な実習生の受入れを支援しているところであります。

 次に、先進的環境整備についてでありますが、県では、これまで「かがわ多文化共生推進プラン」に基づき、多言語での生活相談窓口の設置などによる生活支援、通訳ボランティア派遣や日本語講座などコミュニケーション面の支援に取り組むとともに、災害時に外国人と日本人との懸け橋となる「災害時通訳ボランティア」の育成や、市町と連携しモデル事業として「多言語情報伝達訓練」を行うなど、外国人が暮らしやすい地域づくりに着実に取り組んできたところであります。

 加えて、新たな在留資格が創設されれば、今後、外国人労働者が一層増加することが見込まれることから、他の自治体の先進的な取組みについて調査を行うとともに、県内の受入企業や関係団体に御意見を伺い、外国人人材の活用や受入環境の整備に向け、具体的に検討を進めているところであります。

 私といたしましては、国において検討されている新たな在留資格も含め、今後さらに県内企業の外国人の雇用を支援するとともに、県国際交流協会や各市町、教育委員会等と連携して、外国人と日本人が共にいきいきと安全・安心で豊かに生活できる環境の整備に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

 

 

 第5点は『教育における人材育成策』についてであります。

 学習指導要領が新しくなり、その中では現状を踏まえた『生きる力』を育むことが重視されています。人口減少、グローバル化、IT化が進展する昨今、未来の香川県を担う人材の育成にどう取り組まれるのか以下の項目についてお伺いします。

 1つ目は『プログラミング教育の在り方』です。予測困難な社会においては、情報や情報技術を受け身で捉えるのではなく、手段として活用していく力が求められ、コンピュータープログラムを扱うことにより論理的思考を育むプログラミング教育をはじめ情報活用能力を育成していくことが益々重要となっています。また、IT人材は先ほど述べた通り現在すでに不足しており、その人材育成が大きな課題となっています。小学校では2020年度からプログラミング教育が必修化されるなど情報教育の強化が図られるようですが、限られた予算や教員の多忙化が叫ばれる中、ICTの環境整備、授業時間の確保、指導人材の育成確保、指導法や教材の開発等の課題にどう取り組まれるのでしょうか?ある程度の知識を身に付けた中学生からでもよいという意見もありますが、小学生からの導入の必要性はどういったところにあるのでしょうか?中学校・高校ではどのような取り組みで、将来の香川県を担うIT人材の育成・増加策をどのように講じるつもりなのかも併せてお伺いします。

 2つ目は『グローバル人材の育成』です。人や経済、情報などが国や地域を超えて地球規模で動く変化の激しい社会となりつつありますが、このようなグローバル化が様々な分野で急速に進展する中、世界的な視野を持ち世界を舞台に活躍する人材の育成が求められています。こうした人材が備えるべき資質として、我が国の歴史や文化、伝統に対する理解と幅広い国際的視野、国際平和や環境など、世界的な課題に対する関心と深い教養、加えてコミュニケーション能力や問題解決能力が必要です。県教育委員会においても、高校生の海外交流を推進する取り組みやグローバルリーダーを育成する事業に取り組んでいると聞いています。他方、小学校の英語の必修化、大学入学者選抜改革においても『使える英語』が身に付けられるよう、英語の試験で『話す』『書く』を評価に加えたり、英検やTOEIC等の外部検定の導入が進められていますが、昨今、翻訳機が飛躍的に発展しており、外国語教育の必要性に懐疑的な意見も聞かれます。国際感覚やコミュニケーション能力を身に付けたグローバル人材の育成に県教育委員会としてどう取り組むのか、また、外国語教育の将来展望についても併せてお伺いします。

 3つ目は『人材育成における幼児教育・義務教育の在り方』です。文部科学省の科学技術・学術審議会の資料では『次代を担う人材の育成』と題し、『次代を担う我が国の科学技術関係人材の育成は、身に付けるべき素養・能力を明確化し、人材育成の大きな方向性に共通認識を醸成していくことが重要です。また、科学技術を基盤とする社会である我が国においては、研究者や技術者等の専門人材だけでなく、様々な産業やサービスに従事する人材も含む国民全体が科学技術に親しみ、理解を深めることが重要です。このため、高等教育との円滑な接続に配慮しつつ、まず初等中等教育段階において、科学技術に触れる機会や理数教育を充実させることが不可欠です。近年、韓国やシンガポール、アメリカなどの諸外国において、才能を有する子どもを見出し伸ばす教育が急激に進められている状況であり、我が国においても、将来の科学技術を先導する人材を育成する観点から施策を充実する必要がある。』と報告されています。県教育委員会として、ここで指摘されている『理数好きな子どもの裾野の拡大』『才能を見出し、伸ばす取組の充実』にどう取り組まれるのかお伺いします。また、未来に資する人材となるべく学習する癖をつけるためには、その前段での『幼児教育』に近年注目が集まっています。勉強する子、しない子が両極端となりあらゆる弊害が生まれています。幼児は、身体を使って遊び、学び、考え、経験することによって、豊かな感性を養うとともに生涯にわたり必要となる学習意欲や学習態度の基礎となる好奇心や探究心、やる気を習得していきます。『幼児教育の充実』と『幼児教育と小学校と連携について』どう取り組まれるのかお伺いします

 

(教育長答弁)

 辻󠄀村議員の学校教育による人材の育成についての御質問にお答えいたします。

まず、プログラミング教育については、小学校段階から、コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な「論理的思考力」を身に付けるための学習活動を計画的に実施し、中学校では、技術・家庭科の中でプログラミングに関する知識を深め、

高等学校では新設される科目「情報Ⅰ」において、すべての生徒がプログラミングを学習することになります。また、専門学科の情報科においては、顔認証システムや超音波センサ技術などITに関する内容を深く学んでおります。

県教育委員会といたしましては、教員に対するプログラミング教育に関する研修やICT教材の情報提供を行うとともに、小・中・高等学校を通じたICT環境の整備に努めることで、将来のIT人材の育成や増加につなげていきたいと考えております。

次に、グローバル人材の育成については、現在、県立高校では、海外での語学研修や台湾の高校生との交流のほか、海外留学を促進するなど、生徒が早くから積極的に海外の人々と交流を図ることができるよう努めております。

グローバル人材には、語学力のみならずコミュニケーション能力、異なる文化に柔軟に対応できる資質などが求められることから、外国語教育については、各教科と連携した総合的な視点に立って、資質・能力の育成に取り組んでいく必要があると考えております。

次に、理数好きの子どもを育て、才能を伸ばす取組みについては、中学生対象の「科学の甲子園ジュニア」や、「高校生科学研究発表会」等を実施するとともに、国のスーパーサイエンスハイスクールに指定された高等学校等においては、大学等と連携した高度な課題研究などを通して、先進的な理数教育にも取り組んでいるところです。

 幼児教育・義務教育のあり方については、幼児教育に関する豊富な経験を有するアドバイザーを、幼稚園・保育所等に派遣し、指導を行うことなどを通して、幼児教育の質の向上を図るとともに、小学校教員が幼稚園で1年間の研修を受け、幼稚園での学びを県内小学校に普及させることなどで、幼児教育と小学校教育の円滑な接続を図ってまいります。

 今後とも、子どもたちが予測できない変化に主体的に向き合い、自らの可能性を発揮し、よりよい未来の創り手となるよう、人材育成に一層努めてまいります。