梅があぶない
青梅/吉野梅郷
Q.ニュースで、有名な青梅(おうめ)の梅があぶないって聞いたけど。
A.
そう、青梅市は東京都下の奥多摩の入り口で、昔から「梅の里」として有名で、
春には多くの観光客でにぎわうところだったけれど、その梅の木がPPVという外来のウィルスに侵(おか)されて、このまま放っておくと梅の木が全滅(ぜんめつ)してしまう心配が出てきたんだ。そこでウィルスに侵されている20パーセント近くの梅を伐採(ばっさい=切ってしまうこと)しなければならなくなったんだ。
Q.PPVってどんなウィルスなの?
A.
このPPV=プラム・ポックス・ウィルスの意味は「サクラ属(ぞく)の天然痘(てんねんとう)ウィルス」っていう意味なんだ。
梅やモモ、スモモやサクランボなどサクラ属の果樹(かじゅ=果物の成る木)の実や葉に天然痘の症状(しょうじょう)に似た丸い斑点(はんてん)が出て、しだいに木を枯(か)らしてしまうんだ。
Q.どうして日本の梅に感染したの?
A.
PPVは1915年にヨーロッパではじめて確認されたんだ。
その後、アジアやアフリカに広がっていった。
日本でも、感染を心配して農林省が警戒(けいかい)していたんだけど、とうとう上陸してしまったんだね。
Q.どうして日本に入り込んだの?
A.
植物の愛好家が密輸入(みつゆにゅう)した「輸入を禁止されている果樹」から広まった、と言われているんだ。
外国から密輸された植物や動物が、日本の古くからの生き物に影響をあたえ、
中には絶滅させてしまうこともあるんだ。
動物や植物の愛好家たちがルールを守らないために、多くの生き物たちに悪い影響を及(およ)ぼしてしまうんだ。
みんなで、きちんときめられたルールを守って欲しいものだね。
PHOTO:大東正巳